2022 Fiscal Year Research-status Report
A Historical Study on the Forming Process of Aboriginal Self-Governing System Over Education in Contemporary Canada
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18K02404
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Research Institution | Kagoshima Immaculate Heart University |
Principal Investigator |
広瀬 健一郎 鹿児島純心女子大学, 人間教育学部, 教授 (80352491)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 先住民族 / 教育自治権 / カナダ地域研究 / アイヌ民族 / 漁業権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2019年年度までに収集してきた資料(1940年代~1960年代のインディアン省の教育政策に関する公文書)の整理、分析を行った。しかしながら、COVID19の感染拡大に伴う海外出張等の制限により、補充調査を行うことができず、分析が進まない状況にある。 また、当初計画していた1970年代~90年までの先住民族教育政策についての調査についても、本年度も現地調査を行うことができなかった。この年代の教育政策を検討するためにはインターネットから得られる情報では限界がある。とりわけ、公文書等の一次資料を得るためには、現地調査が不可欠である。その結果、この時期の先住民族教育政策については、先行研究の調査や収集、先行研究に対する批判的検討などを行うに留まった。 なお、先行研究としてタニヤ・タラガ(村上佳代訳)『命を落とした七つの羽根―カナダ先住民とレイシズム、死、そして「真実」』(青土社、2021年)を検討し、先住民族教育研究において植民地支配に基づく構造的差別の実相を明らかにするべきことを論じた。この成果は『カナダ研究年報』第42号にて公刊した。 一方、アイヌ民族の先住民権復権に向けた示唆を得ることを目的として、カナダの先住民権回復の歴史を検討し、先住民権回復の論理と手段を考察した。ここでは先住民族の漁業権に焦点をあて、先住民族漁業権はサケ等の種の保存を前提に保障されるものであることや「民族の文化と存在」を維持する権利であることを見出した。この成果を「カナダ先住民族復権への歴史に学ぶ―サケ漁はアイヌ民族の「文化と存在」を維持する権利」と題する論考にまとめ、『現代の理論』56号(同時代社、2022年)にて公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVIDー19の蔓延により、緊急事態宣言に伴う研究活動の制約やカナダ国内への入国制限等から、2020年4月以降、現地調査をおこなうことができない。本研究を遂行するためには公文書等の第一次資料の収集、分析が不可欠である。このため、基本的な一次資料の調査すらできておらず、研究は大幅に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
長期または複数回にわたって現地調査を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19による感染拡大のため、カナダにおける現地調査が実施できなかったことによる。2020年より3年間、まったく現地調査ができなかったことから、長期または複数回にわたる現地調査を行いたい。また、現地調査が困難な場合は、インターネット等にて収集できる資料を集めるとともに、先行研究の批判的検討などを進めることとする。また、インタビュー調査等についてはオンラインでの調査も可能であることから、ICT機器を駆使した調査方法を検討する。
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Research Products
(1 results)