2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K02406
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
高橋 均 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30561980)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 文化的再生産 / 家族の教育戦略 / 教育社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、言説が階層ごとに異なって配分され、階層ごとに異なった実践を生み出し、階層の再生産に帰結する「言説を通じた再生産」という新たな視点から、文化的再生産の問題にアプローチするものである。本研究では、親から子どもへの「正しいしつけ」のあり方を規定する「しつけ言説」に着目し、近年、子育て・家庭教育関連書籍や育児雑誌等で散見される「叱らないしつけ」「子どもの考え・意見を尊重し、受け入れるしつけ」を称揚する言説が、今日の支配的なしつけ言説としてたち現れていることを、言説分析の手法を用いて明らかにする。次に、質問紙調査に基づき、今日の支配的なしつけ言説が、新中間層の保護者に 専有的に配分され、「受容型・自己表出型のしつけ」が実践されている実態を明らかにし、後期近代の資本主義社会で称揚される、精密化されたコミュニケーション様式が新中間層の家庭において獲得されるという、階層の文化的再生産の回路が成立していることを明らかにすることを目的としている。これまで、1945年から2020年までに刊行された子育て・家庭教育関連書籍にみられるテキスト(言説データ)の収集およびデータ化を進めているが、関連刊行物が膨大であることもあり、収集状況は全体の6割程度に留まっている。継続するコロナ禍により、国会図書館における言説資料の収集が困難となり、研究の進捗が滞っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
継続するコロナ禍により国会図書館の利用制限がかかり、資料収集作業が困難となり、研究の進捗が滞ったため。また、すでに取り掛かりつつあった他の研究課題についてエフォートを割いたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度において補助事業期間の再延長を申請し、研究を継続している。今年度は、当初の研究計画に基づき、テキスト(言説データ)の収集・分析と並行して、質問紙調査の実施ならびにデータ分析を行い、本研究を完遂させる。質問紙調査については、言説空間の再構成作業に基づいて質問項目の設定を行う計画のため、言説データの収集・分析が完了し次第、実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
国会図書館への資料収集に係る旅費ならびに質問紙調査に係る費用を支出するため。
|
Research Products
(3 results)