2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K02414
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
榎井 縁 大阪大学, 人間科学研究科, 特任教授(常勤) (50710232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棚田 洋平 一般社団法人部落解放・人権研究所(調査・研究部), 企画・研究部, 研究員 (00639966)
山本 晃輔 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (30710222)
今井 貴代子 大阪大学, 人間科学研究科, 招へい研究員 (90710236)
石川 朝子 下関市立大学, 経済学部, 特任教員 (60759877)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教育社会学 / 外国人生徒 / キャリア形成・学業達成 / 特別扱い |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバル化を背景とした人の移動は日本の教育でも大きな課題である。1990年の入管法施行から30年が経過し、2019年仁尾hん政府が外国人材を全面的に受け入れる施策を明示したことにより、ニューカマー外国人研究に注目が寄せられた。特に教育の分野においては、外国籍者には法制度上位置付けがないために対処方法を持たない学校現場に対して日本の学校文化を相対化するような知見が導かれてきたが、その研究の視座は教室や学校現場に留まる傾向があり、不就学問題や高校進学率、生存率の低さなどについても、言語的ハンディに注目が寄せられる傾向があった。本研究はマクロレベルでの編入様式を横糸とし、教育実践や地位達成などミクロレベルの調査を縦糸に、教育における外国人の編入様式を明らかにすることを目的としている。昨年度までは、先進的な外国人教育を推進する大阪府に焦点をあて、外国人生徒を積極的に受け入れる「日本語指導が必要な帰国生徒・外国人生徒入学選抜」という入試上の特別枠を設置する府立高校7校の外国人生徒の高校卒業後の進路形成に着目し、卒業生インタビュー(40人)を行い、進路支援のありようや、大学への進学や就職におけるエスニック・アイデンティティの作用などの分析を行ってきた。また、外国人生徒のキャリアを見据えたシステムとして、神奈川と大阪との比較も行ってきた。これらを通して全国の高校選抜において設置が求められている外国人生徒の特別枠国の課題や具体的教育実践が明らかにされつつあった。令和2年度は、COVID19により、学校現場への調査は叶わなかったためそれまで収集したデーターの分析などを行うとともに、現場へは、多言語等による支援などをするに留まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はCOVID19の影響により、学校現場への追跡調査等は行うことはできなかったため、計画していた神奈川との比較調査等も深めていくことが難しかった。しかし、これまで行ってきた特別枠校を中心としてマクロレベルでの編入様式の調査と、その卒業生たち約40人のインタビュー調査をもとに、社会への編入という時間軸も踏まえて、外国人生徒のライフチャンスの向上や日本社会での地位安定に必要な要因等に関する更なる分析や、分析枠組みを深めるための情報の収集などを行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
学校の現場の調査の比較研究を継続することは断念し、この3年間で明らかになった知見を大阪の特別枠校を中心に丁寧に分析し、まとめ、ニューカマー外国人が日本の教育に与えたインパクトを跡付けるととおもに、日本の学校を経験した生徒たちがどのように社会に接続していったのかについて、ミクロレベル・マクロレベルを合わせて本研究のとりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
COVID19の影響により、当初考えていた学校現場への調査や当該外国人へのインタビュー等が一切できなくなり、個人個人で現場への支援に取り組むこととなり、支出する予定のものが一切できなくなったため。
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