2021 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の少年/少女雑誌の投稿文化と中学校/高等女学校の作文教育の比較研究
Project/Area Number |
18K02421
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
今田 絵里香 成蹊大学, 文学部, 教授 (50536589)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 旧制中学校 / 高等女学校 / 東京都立高校 / 男女共学 / 男女別学 / ジェンダー / 東京都立日比谷高校 / 東京都立白鴎高校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1)近代日本の少年/少女雑誌の投稿文化を比較し、(2)近代日本の中学校/高等女学校の作文教育の実践を比較することである。そのため2021年度は、(1)戦前の東京府の中等学校と戦後の東京都の高校、(2)戦前の東京府立第一中学校と戦後の東京都立日比谷高校、(2)戦前の東京府立第一高等女学校と戦後の東京都立白鴎高校を男女共学制導入という視点から比較した。その結果、次のようなことが明らかになった。1948年度、東京都教育庁は男女共学を可としつつ、男女共学とするかどうかをそれぞれの高校に任せることにした。その結果、男女別学の新制高校が誕生することになった。しかし、東京都軍政部が圧力をかけてきたため、1949年度、東京都は男女共学を原則としつつ、男女の募集定員、入学定員をそれぞれの高校に一任することにした。そして学区制のためには男女共学制を、男女共学制のためには学区制を導入しなければならないとして、男女共学制と学区制を組み合わせて導入することにした。しかしその結果、東京都公立高校の全日制は101校中、52校しか男女共学にならなかった。そのため1950年度、東京都は東京都公立高校の全日制普通科について、募集定員に関しては男女別定員とし、それぞれの高校にその男女比を任せることとした。入学定員に関しては男女が定員を超過した場合に男女それぞれで選抜を行うこととし、男女が定員に満たなかった場合には男女それぞれで無選抜入学許可を原則とし、第2次募集を行うこととした。その結果、東京都公立高校は男女共学となった。ただし旧制中学系の高校は男子の、旧制高女系の高校は女子の割合をそれぞれ4分の3になるように設定して募集したため、入学者の男女比がいちじるしく偏ることになった。この結果は小山静子・石岡学編『男女共学の成立――受容の多様性とジェンダー』(六花出版)にて公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、(1)少年少女雑誌の投稿欄に関する史料、および文献を収集し、(2)中学校・高等女学校の作文教育に関する史料、および文献を収集することで、戦前戦後における少年少女雑誌の変遷と少年少女雑誌の「少年」「少女」に関する知の変遷を明らかにすることができた。そして、それを論文にまとめることができた。そのため本研究目的を概ね達成しつつあるといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、(1)近代日本の少年/少女雑誌の投稿文化を比較し、(2)近代日本の中学校/高等女学校の作文教育の実践を比較するため、(1)少年少女雑誌の投稿欄に関する史料、および文献を収集し、(2)中学校・高等女学校の作文教育に関する史料、および文献を収集する。今後は、1920年代、1930年代、1940年代、さらには、戦後の少年少女雑誌の通信欄・文芸欄における投稿文化、および、中等教育機関の作文教育を明らかにする。そして、1900年代から戦後にかけて、少年少女雑誌の投稿文化と中等教育機関の作文教育の関連をさぐることとする。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由)2022年度に、戦後日本の少年少女雑誌の史料、および、戦後日本の作文教育の実践に関する史料を収集する必要が生じた。したがって、2022年度には、複写費など、史料収集に関する費用が大幅にかかることが予期できた。そのため、2021年度の使用計画を変更し、2022年度に繰り越すことにした。この手続きによって、2022年度使用額が生じた。 使用計画) 本研究の目的は、(1)近代日本の少年/少女雑誌の投稿文化を比較し、(2)近代日本の中学校/高等女学校の作文教育の実践を比較することである。そのため、(1)少年少女雑誌の投稿欄に関する史料、および文献を収集し、(2)中学校・高等女学校の作文教育に関する史料、および文献を収集する。2022年度には、(1)戦後日本の少年少女雑誌の史料、(2)戦後日本の作文教育の実践に関する史料を収集する。そのため、2022年度は、複写費など、史料収集に関する費用を支出する計画である。
|
Research Products
(1 results)