2020 Fiscal Year Research-status Report
ライフヒストリーで辿るフィンランド教育の源泉-「教育における平等」概念の実相-
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18K02422
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
渡邊 あや 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (60449105)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 比較教育 / 教育制度 / 教育政策 / フィンランド / 教育における平等 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1)フィンランドの教育政策における「教育における平等」概念の検証、(2)教育関係者のライフヒストリー・インタビューによる「教育における平等」の検証、(3)「教育における平等」の多層的アプローチの制度化メカニズムの解明、(4)平等性を担保する教育制度の在り方についての提言、を実施することとしている。 2020年度は、次の4点を実施した。(1)前年度にパイロット実施した現地の教育関係者に対するライフヒストリー・インタビュー調査の分析を行った。(2)分析したインタビューの内容を、前年度までに実施していたフィンランドの教育政策(特に、1960年代のもの)の分析内容(但し、中途段階のもの)に照らしながら検証し、歴史的変化の個人の教育経験への影響を考察した。(3)前年度は1950~60年代の教育関連法規や政策分析を中心に実施したことを受け、2020年度は、1970年代の教育政策、教育関連法規、及びこれらに関する二次資料の分析を行った。その結果、教員政策(教員養成等)、高等教育政策において、現在の教育制度につながるような改革が次々に断行されていること、それらは、直接的に平等を志向する改革ではなかったが、それにより生じた変化(教員の資格要件や高等教育の学位制度改革)が、その後の平等志向の教育制度づくりの基盤となったのではないかという仮説的な結論を得た。さらに、(4)現地の教育学系の研究者2名から得た調査のフレームワークに対するフィードバックをもとに、調査対象者に成人教育の専門家を加える等、研究計画に修正を加えた。 前年度予定しながら実施できなかった本調査は、欧州地域における新型コロナウイルスの感染拡大、さらには、それに伴う教育関係者の多忙化による日程調整の困難化により、2020年度も実施がかなわなかった。そのため、研究期間を延長し、2021年度に実施する予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年度も海外調査が実施不可能であったこと、さらに、代替措置として考えていたオンラインインタビューについても、教育関係者の多忙化のため日程調整が困難であったため、実施がかなわなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究遂行のため、研究期間を1年間延長している。オンライン・インタビューなどにより、本研究の核となるライフヒストリー・インタビューを実施するため、インタビュー予定者とのコンタクトを継続するよう努めている。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大に伴い海外調査が困難であったこと、欧州の状況悪化に伴う教育関係者の多忙化により日程調整が困難であったことから、本研究の中核的な調査であるライフヒストリーインタビューを実施することができなかったため、研究機関の延長を申請し、認められたことによる。上記を踏まえ、2021年度に、延期している調査をオンライン等の手段を用いながら実施することで、研究費を使用する予定としている。
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