2018 Fiscal Year Research-status Report
ケニアの公立小学校の空洞化と低学費私立小学校の増加-多様化と基準化のせめぎ合い-
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18K02423
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大塲 麻代 帝京大学, 外国語学部, 講師 (30578828)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カリキュラム改革 / 低学費私立校 / 無認可学校 / 公立小学校 / スラム / ケニア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は当初、ケニアにおける公立小学校の空洞化と低学費私立小学校(ここでは、いわゆる高額な学費を徴収する私立校ではなく、スラム地域で増加している無認可校を指す)の急増を、児童の多様化と学校の基準化の観点から比較し、その異同を明らかにすることを目的とした。その理由として、公立校の空洞化と低学費私立校の増加は、無償化政策による就学者数増加に伴う教育の質低下の観点からのみ議論され、多様な児童の実態(宗教、年齢、言語、障がい、就学前教育の有無)などについては、十分研究されてこなかったためである。都市部を中心に低所得層の児童を対象とした低学費私立校は、無認可でありながら正規のカリキュラムに則ることで就学者数を増加させている。そこで、なぜ公立校は空洞化し低学費私立校は増加傾向にあるのかを、児童・学校の多様化と基準化の観点から捉え直し明らかにすることで、学術的・実践的示唆を得ることを目的とした。 しかし、申請段階ではまだ実施が不確かであった教育制度改革について、2018年より、ケニアでは教育改革による新制度が導入され、それによりカリキュラム改革も実施された。そこで、本研究は、当初の目的の「なぜ公立校は空洞化し低学費私立校は増加傾向にあるのか」を明らかにすることに加え、「果たして低学費私立校の教育の質は今後も維持されるだろうか」も含めることで、教育改革後の教育の質に関する公立校と低学費私立校の異同を明らかにすることを目的としたい。 2018年度は1回目のフィールド調査を実施し、調査地の選定、学校の基礎データ収集、カリキュラム改革の内容把握に努めた。調査より、公立校1校と私立校21校から基礎データを収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケニアの教育制度改革とそれに伴うカリキュラム改革の新制度が2018年より導入されたことから、研究意義を高めるためにも、当初の研究目的を多少修正しフィールド調査を実施した。フィールド調査が実施できたことから、当初の計画から大幅に遅れることはなく、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、カリキュラム改革により、どの程度公立校と低学費私立校(無認可学校)ではその対応に異同が見られるのか、またこれにより就学者数に変動は見られるのか、この辺りを詳細に検証していきたい。
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Causes of Carryover |
およそ11万円繰り越しになった理由としては、当初予定していた国内旅費(学会参加)を他の経費から支出することが可能になったためである。繰り越した額と次年度使用額は、国際学会への参加、国内旅費等により支出予定である。
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