2018 Fiscal Year Research-status Report
Teacher's job analysis using the concept of "labor"
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18K02426
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
油布 佐和子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80183987)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多忙 / 労働過程 / 勤務環境 / intensification / 感情労働 / turnover(離職) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は多忙や長時間労働が課題になっていながら、研究としては十分な展開を見ることができていない教員の働き方について、<労働>の概念を用いて、<被雇用者><労働の量と質><労働者としての自己意識>等の観点から検討・考察し、教師の多忙研究の新たなステージを切り拓くことを目的としている。 初年度にあたる本年は、先行研究から基本的な概念を整理するとともに、継続的なフィールドワークの実施を目的としていた。後者については、本年度は部分的にしか実施できていない。 前者、教師の多忙に関する文献研究については、<感情労働><ケアワーク>をキーワードに、隣接領域も含めた文献収集を行うとともに、海外における研究状況の情報収集に努めた。海外の研究については当初、workloadをキーワードとして検索したものの、本研究の関心と必ずしも近似するものではなく、のちにturnover(離職)やintensification(労働の強化)というキーワードで行われている研究が、本研究と問題意識を共有していることが明らかになった。そこでは、社会の変化に応じて新たな教育課題が導入されていることや、保護者の要望の強まりなどが指摘されており、これは教師の役割拡大という日本での議論と重なるものがあった。ただし、job型社会において教師はteachingに役割が限定されているはずであり、学校内の協業の実態を明らかにする必要が示された。一方で、新自由主義政策における成果主義が、教員の本来的な教職志望動機と相容れないことが疲弊の原因であるという指摘も見受けられた。筆者らのかつての研究では、日本では体制順応的な教師の増加を明らかにしたことがある。もしこの指摘が正しいならば、日本では<多忙>感は薄れるはずであるが現実はそうではない。 先行研究をこのように整理検討することで、次年度のリサーチクエスチョンが明確になった段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内外のフィールドワークについて、実施のための日程調整が難航し滞ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年の秋より、特別研究期間の権利を獲得したため、本務のオブリゲーションが減少し、時間の確保が容易になることから、2年目においてこれまでの遅れを取り戻す予定である。
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Causes of Carryover |
国内外のフィールドワークについて、日程調整が難航し予定した通りに実施的なかったため。主として、未実施となった海外調査の交通費と宿泊費が計上されなかった。
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