2019 Fiscal Year Research-status Report
Teacher's job analysis using the concept of "labor"
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18K02426
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
油布 佐和子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80183987)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多忙 / 労働過程 / 勤務環境 / intensification / workload |
Outline of Annual Research Achievements |
教員の働き方改革が進められる中で、長時間労働が問題視されているものの、研究としては、その原因も含めて、<労働>の内実については十分な展開がない。そこで本研究は、教員の<労働過程>に着目し、この展開に寄与することを目的としている。 前年度の文献を中心とした研究により、リサーチクエスチョンを明確にし、本年度は複数の実証データを収集することを目指していた。すなわち、① 労働時間の内実について、資料とインタビューに基づく分析 ② 日本と同じような問題を抱えているUKでの、特に学校組織、教員役割についての比較検討 ③教員の労働の質がわかる資料(過労死の裁判資料)を用いてのインテンシブな検討を、を予定していた。しかしながら、別途示したように、コロナパンデミックにより、いずれも中断している状況である。 ただし、②についてはある程度のまとまった知見が得られた。日本では、「<海外の教員は、授業にしか携わっていない>ために、長時間労働に陥ることがない」という認識があり、したがって、日本の教員のマルチタスク状況への着目と、タスクの精選(部活のアウトソーシング)などが解決のための一般的認識になっている。が、この情報自体が大きく誤っていることが英国でのインタビューや資料等で判明した。同時に、英国では、教育改革によって導入されたperformativityやaccountabilityを背景とする<査察文化>がこの問題に大きくかかわっていることが指摘されているのである。 研究は全体としては遅れているものの、上記②については、情報提示という点で、現在入手しえた知見を披露する意義があると考えられるので、早急に論文・報告書としてまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究にはフィールドワークや資料収集が欠かせないが、前半(7月ころまで)は、勤務の関係からそれがかなわず、その後取り組んだものの、重点化して実施・検討するはずの時期に、コロナパンデミックの影響で、予定していた案件がすべて中断されている状況である。 ① 退職教員への聞き取りによる、<教育改革以前><1980年代以前>の勤務状況について、複数社のインタビューを予定していたが、現在2人しか実施できていない。 ②日本以外で教員の長時間労働やオーバーワークが問題になっている英国において、学校観察や教員インタビューを実施する予定であったが、交渉の最中に学校閉鎖が始まったため、限定された情報しか入手出来ていない。 ③ webで入手できる範囲の文献収集、それに基づく検討しか実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナパンデミックによる規制が、どの程度緩和されるかによって、フィールドワークや資料の入手が大きく異なってくる。特に、インタビュー調査や、英国でのフィールドワークなどは、現在のところ、明確な予定が立っていない。 一部しか収集できていない「過労死」の判例も、図書館の開館状況次第である。
フィールドワークを必要とする研究においては、上記の点で非常に大きな課題を抱えている。
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Causes of Carryover |
2月以降に、年配教師へのインタビュー調査、、およびフィールドワークを予定していたが、コロナウィルスでの規制があり、それがすべて延期・キャンセルになったことによる。 規制の緩和状況にもよるが、最終年度に実施したい。
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