2020 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Study on Governance at the Universities Founded by Overseas Ethnic Chinese in Some Asian Countries
Project/Area Number |
18K02430
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
大塚 豊 福山大学, 大学教育センター, 教授 (00116550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 貴愛 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (80610906)
劉 国彬 福山大学, 大学教育センター, 准教授 (00782228)
中矢 礼美 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (70335694)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中国 / 華人 / 東南アジア / 大学運営 / 民族アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
世界中に約3,500万人、アジアにその約7割が住まう華僑・華人。彼らは定住の地と決めた国において、当該国と中国との国際関係に翻弄され、種々の民族的軋轢を経験しながらも、主に経済界において確固たる地歩を占めるケースが多い。企業経営を通じて得た巨万の富を使い、居住国に創られた高等教育機関は異彩を放ち、アジアの教育はそれらを抜きには語れない。 これらの高等教育機関は、1)グローバル化する世界の中で華僑・華人が自らのアイデンティティ保持のために設けた装置であり、2)現居住国の教育発展のために行った支援策の戦略的表現でもある。また、所在国の対中国姿勢との絡みの中で、国立大学や他の民族系私立高等教育機関とは微妙に異なる発展の経緯をたどっている。 本研究は、華人人口が多い順にインドネシア、タイ、マレーシアの3か国に対象を絞り、国際比較と歴史分析の観点から、華人系機関の発展に内在する社会的・教育的諸要因に迫った。具体的には、①大学創設は、彼らが当該国で主として経済的、経営的営為の延長として一層の存在感を示すためか。②むしろ教育的観点に立って、居住国の高等教育の不備を補完し、その発展を支援しようとの思いが優先した結果なのか。そのいずれにせよ、③教育実践の中の漢語ないし華語教育に典型的に表れる自らの民族的アイデンティティ保持への配慮がどれほど表れているか。④民族的アイデンティティの表現は、当該国の高等教育政策や国としての教育内容に関する基準と葛藤や矛盾を生じていないか。さらに、⑤これらの機関で育った人材は、卒業後にいかなるキャリアをたどり、当該国の発展に寄与したり、中国との関係を取り結んでいるか、の諸点について、文献・資料研究と関係者へのインタビュー調査と通じて解明した。最終報告書は『アジア諸国における華僑・華人による大学運営実態に関する実証的比較研究』(全190頁)として刊行した。
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Research Products
(6 results)