2019 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャル・インクルージョンに向けた障害・貧困児童のヘルス・リテラシーの向上
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18K02433
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
村山 拓 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50609641)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヘルス・リテラシー / 障害 / 貧困 / 学校教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、グローバル社会における障害児や経済的不遇状況下で暮らす子どものヘルス・リテラシーの獲得及びその向上について、教育内容及びカリキュラム開発の観点から検討することを目的としている。主たる作業課題として、米国におけるカリキュラムやプログラムの内容の検討及び、健康や安全に関する言説の分析を設定し、あわせてわが国へのインプリケーション、実践的示唆を得るための理論、事例研究を進めている。 2019年度の研究実績としては、以下の三点を主に挙げることができる。第一に、米国におけるメンタルヘルス・リテラシー概念と学習内容について、認知・感情スキルの獲得に関する内容を、イリノイ州、マサチューセッツ州のプログラムに注目して検討を行った。医療システム、特に保険未加入者の多い経済的不遇児等において、子どもの受診とあわせて、保護者の受診や健康課題への意識の向上が課題となっていることが確認された。関連して、子ども対象のプログラムとあわせて、成人対象のプログラムが公的機関を中心に運営されていること、関連する専門職種の養成等が課題となっていることを確認した。 第二に、中度、重度の知的障害児に対するヘルス・リテラシー獲得をめぐる言説の検討を行い、1960年代以降の知的障害に関連するカンファレンスで取り上げられた題材やトピックに注目して、その内容的系譜や傾向を探ることに主眼を置いた。 第三に、小児疾患、若年性疾患のある学齢期の生徒への対応について検討するため、小児がん、AYA世代がん患児を題材として検討を行った。具体的には、がん患児の高等学校での学習支援、生活支援に関するアメリカがん協会の取り組みや支援内容プログラムの開発に注目した検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中度、重度知的障害児のヘルス・リテラシー向上のためのプログラムについての検討を引き続き要すること、また発表を予定(採択)されていた学会がCOVID-19感染拡大により中止となったことにより、成果を公表する機会が当初の予定より少なかったものの、資料やデータの収集等は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度からさらに展開を要する課題として、主に以下の三点を挙げることができる。 第一に、中度、重度の知的障害児のヘルス・リテラシー獲得に向けたプログラムの事例収集や検討、評価の枠組みの検討が挙げられる。特に知的障害児の社会的自立や社会参加に向けて、獲得が期待される健康概念、衛生概念と、その具体的なスキル、カリキュラムに注目して、検討を進める予定である。 第二に、健康障害児、慢性疾患児のヘルス・リテラシーの検討をひきつづき進めることである。2019年度に小児がんについての当事者・専門家団体の取り組みを検討したが、特定の疾患に基づくヘルス・リテラシー概念の内容や特徴を検討することと並行して、予防的観点や行動医学の知見を借りたヘルス・リテラシー概念の検討が必要であるため、その課題を中心に推進する予定である。あわせて、ストレスや精神的健康に焦点化したプログラムの事例検討が必要であることから、中等教育段階におけるストレスマネジメント教育のプログラム等の収集、検討等を進める。 なお。COVID-19感染拡大により、米国等での現地調査が研究期間の間に実施できない可能性が高い。その対策として、Webサイトを活用した資料収集やオンラインによる調査を行うことを予定している。現在、Webサイトを活用したアンケートフォームの構築を検討しており、健康や障害に関する意識や認識について調査し、比較検討を進める予定である。 上記の通り、北米地域の取り組み事例等の検討の遂行を通して、グローライゼーション下のヘルス・リテラシー概念及びその習得、向上に向けた課題を明らかにするとともに、わが国の教育実践への理論的示唆を得られるよう、課題等の接続を図りながら進め、論文投稿等を通して経過、成果の公表を進める予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大により、発表を予定していた日本社会精神医学会大会が中止となり、学会参加費、発表費が未執行となった。
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Research Products
(5 results)