2020 Fiscal Year Annual Research Report
Factors and developmental significance that determine the interpretation of playfulness and teasing behavior from infancy to school age
Project/Area Number |
18K02443
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小野 啓子 愛媛大学, 教育学部, 研究員 (40804159)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ふざけ・からかい行動 / メタ表象能力 / 自己理解 / 他者理解 / メタメッセージ / コミュニケーション行動 / 折り合い |
Outline of Annual Research Achievements |
ふざけ・からかい行動の発達的意義に関する研究は,1~4歳期の乳幼児と養育者との日常生活場面を定期的に録画し,エピソードを抽出・分析することを通して実施した。1歳代後半から大人のふざけ行動に込められたメタメッセージを理解しはじめ,次第に子どもの側からの能動的なふざけ行動の発信が見られるようになること。その背景として,プレイフルという新たな表象をつくりだしている自己への気づき(小山,2012)や,表象機能の発達による自他分化の促進があると推察された。 3歳期には,ポジティブな情動を共有しつつ,葛藤をうまく回避しようとする「はぐらかし」の機能が出現した。4歳期には,養育者の期待を能動的に冷静にはぐらかす様子が観察された。乳幼児期に,ふざけ・からかい行動を通して,親密な他者との間でメタメッセージを含んだ複雑なやり取りを繰り返すことは,メタ表象能力の発達基盤となっていること,また,他者との間で「折り合いをつける」ことを学んでいく機会になっていると推察された。 ふざけ・からかい行動の解釈を決定づける要因を探るため,実際のエピソードをもとに作成した紙芝居を用いて,20代から70代までの男女35名にエピソードの解釈についてアンケートを実施した。解釈の要因として主に「受け手の表情」と「自分の体験」が挙げられていたが,「表情」か「体験」のどちらか一方のみを挙げる人が多く,両方に言及している人は少なかった(p=0.010, Phi=0.467)。 保育所での乳幼児と保育者,学童と児童指導員との遊びの観察記録からは,大人の指示や介入により,ふざけ行動のエピソードが終了している傾向がみられた。ふざけ・からかい行動を,今一度コミュニケーション行動の一様式として捉えなおし,大人の側の対応について検討する必要があると思われる。
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