2020 Fiscal Year Research-status Report
The effects of learning support offered by the senior on physical and mental health and life behavior of the children in a child welfare institution
Project/Area Number |
18K02447
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
内田 勇人 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (50213442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 光児 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (00206111)
井上 靖子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (00331679)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 児童養護施設 / 高齢者 / 世代間交流 / 学習支援 / 児童 / 子ども |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、児童養護施設における高齢者の学習支援が児童養護施設入所児童の心身の健康、生活行動に及ぼす影響について明らかにすることを目的として実施した。一方で、2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う感染対策として、調査研究に協力予定であったA児童養護施設の協力が延期となり、児童に対する学習支援等の実施効果に関する調査を行うことができなかった。そこで児童生徒に対する世代間交流プログラムへの参加を希望する高齢者を選定し、ボランティア等の社会活動に対する意識と現在の心身の健康度との関連について調査を行った。調査の実施時期は、2020年10月から12月であった。研究参加者として、兵庫県A市の生涯学習大学と高齢者大学および同県B市の語学センターに通う65歳以上の者103名を選択した。無記名自記式調査アンケートを配布し回収を行った。調査内容は、「基本属性」「社会活動性」「主観的健康感」「精神的健康度(WHO-5)「高齢者用抑うつ尺度短縮版(GDS)」「老研式活動能力指標」「居住年数」「地域愛着度」「generativity尺度」「主観的経済状況感」「経済的満足感」「友人や家族との付き合い状況」「社会的孤立尺度」「家族構成」「生きがい感スケール」「運動継続の頻度」等とした。分析の結果、自らの人生経験や知識、技術を次世代へ継承したいとするgenerativity得点は高いものの、対象とする児童との接触の機会はほとんど得られていないことが明らかになった。社会活動性得点には性差が認められ、男性において有意に低かった。新型コロナウイルスの感染状況を注視しつつ、今後、A児童養護施設の入所児童20名との世代間交流事業を月1回、計5回実施する予定である。2020年度は、本調査で得られたデータの分析結果を国内学会、国際会議においてオンライン形式にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、研究を十分に進捗させることがかなわなかった。最大の理由としては、新型コロナウイルスの感染拡大であり、調査研究に対して協力の意向を得ていた施設において予定していた調査研究を実施することができなかった。9月に入り若干感染者数が減少してきたことから、この機会をとらえて調査の実施を準備したが、その後第3波の兆候がみられ始めたことから児童養護施設入所児童に対する調査は見合わせることとなった。高齢者に対しては、2020年10月以降に調査を実施する機会が得られたため、高齢者へのボランティア等の社会活動に対する意識と現在の心身の健康度に関する調査は行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、複数の児童養護施設への調査協力を打診し、より多くの児童養護施設入所児童に対する高齢者による学習支援を進展させたいと考える。そのうえで、児童養護施設入所児童の心身の健康、生活行動に及ぼす影響について、積極的に調査研究を進める。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大は現在も収束しておらず、研究参加者の健康を第一に、両者へのアプローチは慎重に感染対策を厳密に取りながら進める。具体的には、世代間交流の手段として屋外での活動に着目し、児童の心身の機能の向上と高齢者ボランティアの社会参加の進展、精神的健康の維持向上に着目した研究を実施したいと考える。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大に伴う学校の休校等の影響を受け、2020年度の1月から予定していた児童養護施設入所児童と高齢者ボランティアの交流活動や両者へのアンケート調査、および得られたデータの分析が実施できなかった。次年度に未了の調査を実施する予定であり、それらに伴う物品費、謝金の使用が生じることとなった。使用計画としては、交流活動として教育支援活動やスポーツ活動を予定しており、教材等の物品費、謝金、調査用紙の印刷費、また研究発表に伴う学会への参加費等が必要になることが予測される。
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