2020 Fiscal Year Research-status Report
History and today's role of AGEEM in France
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18K02448
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
大庭 三枝 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (50413539)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フランス / 保育学校 / AGEEM(全国公立保育学校教員協会) / 教員 / ATSEM(保育学校専門職員) |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルス感染症拡大防止のため渡航が禁止され、2020年度予定していた第93回AGEEM研究大会(2020年10月、対面)への参加および、保育学校現地調査が実施できなかったが、今年度特有の研究課題としてフランス保育学校における感染防止対策について、Webによる情報収集、メールによるへの聞き取り等、現状可能な手法で研究を遂行した。 2019年度の研究成果は、「フランスのl’ecole maternelleを取り巻く近年の政策に対するAGEEM(全国公立保育学校教員協会)の動向」として日本保育学会第73回大会にて発表した。 3~5月の保育学校閉校中、AGEEMが子どもと家庭と保育学校教員を支えるために創設したブログの内容を分析し、部分登校開始時に国民教育省が出した「衛生プロトコル」への対応に混乱する現場と社会の対応について、新聞報道などから情報収集し検討した。保育学校では衛生プロトコルの遵守と幼児期の発達に必要な関わりの間のバランスに工夫や苦労がみられる一方、医療関係者や歌手が子ども用に動画を制作する等、子どもたちが置かれた異常な環境と発達に及ぼす影響を憂慮して、保育・教育職以外の様々な職種の社会的連帯が明らかになった。その研究成果は日本乳幼児教育学会第30回大会にて「フランスのl’ecole maternelle(保育学校)における休校期間中および再開に向けての対応-衛生プロトコルの運用に着目して-」として発表した。 人や物への直接接触体験から著しく心身の発達を遂げる幼児期において、大人のマスク着用や身体的距離の確保という感染症対策は、教育と養護・衛生を一体的に担うため、教員とATSEM(保育学校専門職員)の協業と連携について再考する契機となったことを明らかにした。その研究成果は第27回日本保育保健学会inぎふ(2021年5月)にて研究発表する予定である(採択済み)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の世界的拡大により渡航が禁止されたため、研究協力(第93回AGEEM(全国公立保育学校教員協会)研究大会実行委員会)を取り付けていた、AGEEM研究大会における現地調査を実施することができなかった。AGEEMの活動や研究大会が保育学校実践に果たす役割について、具体と実際の影響についての調査は2021年度についてもいつ実施できるか不透明な状況である。 特に、2021年はAGEEM創設100周年という記念の年で、研究大会(7月4-6日、対面)においてその歴史的役割の概括他様々な内容が予定されており、例年にない多くの参加者が見込まれる。しかし、緊急事態宣言が発令されている日本や外務省の渡航制限対象国であるフランスの感染状況を考えると、2021年7月上旬の研究大会に参加しての現地調査は断念せざるを得ない。この大会においても、研究協力を取り付けていただけに、不参加の判断に対し、AGEEM全国事務局及び研究大会実行委員会からは遺憾の意を表明された。現地調査を予定していた2020年度の不参加に続き、2021年度も研究計画上重要な大会での現地調査ができないことは、本研究の遂行上極めて重要な機会を失うといえる。 いつになるか予測はつかないが渡航が安全に可能になり次第、AGEEM全国事務局を中心に2021年の研究大会の記録を精査し、可能な範囲で聞き取り調査を実施したいと考えている。と同時に、現地調査の代替となる調査方法を検討している。 保育学校実践についての調査については、この先実施計画の予測がつかないうえ、代替方法についての検討についても、現地の状況が落ち着くまで待っている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
AGEEMの社会的役割を解明するために重要な創設100周年の記念大会について、参加しての現地調査は不可能となったが、1年遅れでも可能な限りその社会的意義に迫っていきたい。AGEEM研究大会の役割として考えられる、リカレント教育・現職研修・事前(初任者)研修などの側面について、現地にて参加者への聞き取り調査を行うことが望ましいが、この大会を活用する参加者の意図を解明する調査方法を模索している。 AGEEM会員の所属する保育学校における実践調査については、感染状況が落ち着き観察調査が可能な時期に実施する予定である。 いずれにせよ、新型コロナウィルス感染症の拡大状況とワクチン接種の状況および日仏政府の渡航制限を総合的に勘案しながら、研究計画の再検討を行っていくが、2021年度もまずは入手できる文献・資料からAGEEMの歴史的・現代的役割を検討し、可能な手段で保育学校における具体的・機能的役割を精査していく。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウィルス感染症の世界的拡大により、研究対象国への渡航が制限されたため、旅費の使用がなかった。2021年度も現在は渡航が禁止されているが、感染状況の落ち着きやワクチン接種の状況から、渡航しての現地調査が可能になれば実施するとともに、延期されてきた国際学会における研究発表も行う。
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