2021 Fiscal Year Research-status Report
子どもの権利の視点に立つNPOの支援構造と倫理的基盤形成のメカニズムに関する研究
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18K02455
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
加藤 悦雄 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (60299823)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子どもの権利(人権) / 人権の歴史 / 内在的な倫理 / 反省的判断力 / 子どもNPO |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、子どもの権利(人権)の視点に基づく支援の方法と、それを可能にする要件として、支援者の倫理的基盤形成のメカニズムを明らかにすることである。令和3年度は以下の3点について、実施することができた。それぞれの実績と合わせて報告する。 一点目は、子どもの権利(人権)を尊重した児童福祉援助を可能にするメカニズムについて、人権の歴史的発展の分析(歴史研究)を通して明らかにしたことである。 この成果は、研究論文「『子どもの権利』を尊重した児童福祉援助を基礎づける倫理的メカニズムの探索―人権の歴史的コンテクストの分析から」『大妻女子大学家政系研究紀要』第58号(2022.3)〔印刷中〕として公表する。 二点目は、子どもの権利(人権)を尊重した援助を展開している担い手の自我は、どのようなメカニズムによって可能となるのか。実際に、子どもの権利基盤型の支援に取り組んでいる人に対する調査(子どもNPO職員に対する聞き取り)、および児童福祉を推進した歴史的人物(石井十次)に資料収集(記念館職員に対する聞き取りと文献収集)とその分析を実施したことである。 三点目は、最終年度(令和4年度)の研究成果報告に向け、これまでの調査結果の分析と考察を進め、報告書の執筆に着手した点である。なお、執筆内容の一部は、前期研究論文の内容に反映されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、当初平成30年度~令和2年度の3年計画であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大と、それに伴う教育活動の多忙化(とくに保育実習業務)等に直面し、延長を余儀なくされてきた。しかし延長期間を活用することで、令和4年度をもって終了する目途を立てることができた。以上を踏まえおおむね順調とした理由として、以下の3点を挙げることができる。 一点目は、本研究の問題意識、先行研究の検討に基づく問い(研究目的)について、より明確に示すことができた点である。この点に関しては、これまでに公表した研究論文等にも反映させている。 二点目は、必要なデータの収集と、調査結果の分析・考察を進め、順次、研究論文にまとめ公表を進めてきている点である。令和3年度は、「『子どもの権利』を尊重した児童福祉援助を基礎づける倫理的メカニズムの探索―人権の歴史的コンテクストの分析から」『大妻女子大学家政系研究紀要』第58号(2022.3)〔印刷中〕がそれに該当する。 三点目は、本研究の仮説を補強するための研究活動として、子どもの権利(人権)の歴史研究を通して、子どもの権利(人権)を発展させたメカニズムを明らかにした点である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度を最終年度に定め、研究成果の執筆・公表を目的に取り組んでいく。推進方策として、以下の二点を考えている。 一点目として、研究活動を集中的に進めていく時期を確保し(8月、及び11・12月)、執筆活動に取り組む点である。 二点目として、研究成果の公表の場として、科研費の成果報告書と合わせて、学会等における研究報告および研究論文の投稿先を設定して取り組む点である。 具体的には、子どもの権利条約総合研究所研究総会、日本社会福祉学会秋季大会における研究報告と、『子どもの権利研究』への論文投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、出張を要する研究活動の延長を余儀なくされ、とくに出張費用に関して次年度使用額が生じることになったからである。 具体的には、兵庫県明石市で予定されていた「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウムの延期、さらに福岡市で予定していたヒアリング調査(第二どろんこ夜間保育園園長へのヒアリング)の延期等が挙げられる。 延長した令和4年度の使用計画として、兵庫県明石市で実施予定の「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウム(研究成果の報告を予定)、社会福祉法人四季の会「第二どろんこ夜間保育園」園長へのヒアリングなどにおける交通費として使用することを予定している。
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