2022 Fiscal Year Annual Research Report
A study of the structure of support provided by NPOs from the perspective of children's rights, and the mechanism of formation of the ethical foundation for that support
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18K02455
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
加藤 悦雄 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (60299823)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子どもの権利(人権) / 児童福祉の担い手 / 倫理的基盤 / 法による支配 / フィードバック機制 / 個人の尊厳 / 反省的なふり返り |
Outline of Annual Research Achievements |
1994年の子どもの権利条約批准から30年近い歳月を経て、条約の一般原則に基づく子どもの権利法制、すなわち「こども基本法」「こども家庭庁設置法」等(2022年6月成立、2023年4月施行)が整備された。しかし、3年にわたるコロナ禍も相まって、子ども・若者を取り巻く状況は、社会的孤立や自死、貧困、虐待や暴力被害等、依然として厳しい状態が続いている。 本研究は、子ども支援の中に権利(人権)の視点を組み込む必要を問題意識に掲げ、子どもの権利に基づく子どもNPO等の支援構造と、それらを実質化させる倫理的基盤形成のメカニズムを明らかにすることを目的に取り組んできた。 本研究の主な成果として、次のような点を明らかにした。第一に、子どもの権利の視点に立つNPO等の支援構造について、①タテの構造として、子どもの権利の視点に基づく「法による支配」(⇔人による支配)、②ヨコの構造として、子ども等のリアルな状況を捉えるフィードバック(input/output)機制が認められた。 第二に、上記の構造を踏まえ、子どもの権利に基づく支援を実質化させる倫理的基盤形成のメカニズムとして、次のような点が明らかとなった。支援の担い手に対して、単に子どもの権利(法規等)に従った行動を求めることでは不十分である。そうではなく、支援の担い手がリアルな他者と出会い、尊厳をもつ個人の痛みに傷つき、その経験を反省的にふり返ること。そして、他者と共に生きるために、子どもの権利の視点を主体的に選び取る手続きを必要とする。言わば、特殊的な経験に対する、普遍的な思考の選び直しという手続きである。 なお、上記研究成果の一部について、「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウム2022明石(2023年2月)で報告する機会をもつことができた。
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Research Products
(3 results)