2018 Fiscal Year Research-status Report
Early CHildhood Education and Community Building to support development of children from famlies with linguistic diversity
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18K02460
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
内田 千春 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (20460553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 ひろみ 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50334462)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 就学前教育 / 保育 / 外国籍児童 / 家庭支援 / 言語発達 / 複言語環境 / 乳幼児期 |
Outline of Annual Research Achievements |
保育所、幼稚園、公私別、地域別に行われている就学前後の外国籍児童の状況調査と実践事例のメタ分析を進めている。 多元的制度によって就学前教育が運営されている我が国の現状から、就学前の年齢の外国籍児童の実態を包括的に調査したデータが少ない。しかし、この数年様々な研究調査が行われるようになってきた。その知見を整理し、分析を進めている。現在のところ以下のような点が確認されている。 ①保育者の困り感の調査では、保護者に関する報告が多い:保護者とのコミュニケーションがうまくいかない、保育の方針がうまくつたわらない、保護者の園への協力が得られない、子どもの持ち物に不備が多い等である。次に多いのは、文化差による食習慣や時間の感覚の違いに関するものが多い。②子どもへの心配については、意識が強い場合とあまり問題視していない場合とがある:複言語環境で発達する子どもの支援は第二言語として日本語を学ぶ場合と異なる支援が必要だということが、あまり理解されていない。③発達障害等の医療につなぐべき特別な支援ニーズがある子どもなのか、文化差・言語の違いからの課題なのかの判断に苦慮されている。 ④外国につながる就学前の子どもの実態は、自治体の意識が高くないとつかめない:小学校就学の案内も、義務教育の対象ではないという理由で届かない、あるいは届いても日本語の手紙のみという場合が多い。中小の自治体では、転出入や自治会に依頼して不就学児童が出ないような取り組みをするところもあるが、大都市圏では生活圏の中で実態を把握するのが難しい。また就学前から学齢期の接続期の子どもについては、責任をもつのが誰なのか、自治体によって対応が分かれている。 以上の点を踏まえて、2019年度は、1)子どもへの支援を検討するための保育現場の調査と、2)他領域の研究分野の知見を含めた家庭への支援に関する調査、をさらに進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
外国につながる子どもの人数が変化した協力園があり、研究計画の変更が必要だった。従って、該当年度予算のうち、交通費等が少なく、また同時に使用する機材の数が少なくて済んだため、予算を少し残した。また、当初雇用予定だった大学院生の事情が変わり、研究助手の確保が難しかったこともあげられる。 一方で、外国籍の子どもの支援を行う団体や当事者の保護者支援を行う団体との研究上の関係をつくることができ、予定上の協力者を得て聞き取り調査を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、保育現場でのデータ収集の対象を、戦略的に選択して研究補助者が少ない時期でも進められるように計画を工夫する。 現在研究データの分析や成果の公表が遅れていることから、学会発表や論文等の執筆にも比重を置いていく。また、小学校以上で外国籍児童の指導を担当する教員への研修項目に関する研究結果が出てきていることから、その専門家である共同研究者とともに、就学前に必要な技術・知識の整理を進めて学会や支援団体の研究会等で共有し、専門家と実践家の双方からのインプットを得ていきたい。
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Causes of Carryover |
協力園で急に外国につながる子どもの人数が変化した園があり、研究計画の変更が必要だった。従って、該当年度予算のうち、交通費等が少なく、また同時に使用する機材の数が少なかったためである。 次年度は、安定したデータ収集のために、旅費と当該年度に購入予定だった調査用機材が必要となる。また、研究成果の国際学会での発表を予定しており、その旅費や発表準備費用が必要である。
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