2020 Fiscal Year Research-status Report
絵本の読み合い遊びが育てる子どもの関係発達-その実証的研究-
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18K02476
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
石川 由美子 宇都宮大学, 共同教育学部, 教授 (80282367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 隆 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (50320601)
齋藤 有 聖徳大学, 児童学部, 講師 (60732352)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 絵本の読み合い遊び / 発達 / 発達検査(KIDS) / nirs計測 / 前頭葉下部 |
Outline of Annual Research Achievements |
読み合い遊び実践での発達検査の縦断的なデータの比較から,実践を行った場合,以下のような変化認められることがわかってきた。先行研究からも,絵本の読み聞かせでは言語の認知的発達が有意であることは認められている。当然読み合い遊び実践でも言語発達の領域での育ちは認められることは予測の範疇であった。さらにこれまでの著者らの研究では,言語理解から表出への順序性,さらに概念理解へといった順序性が予測されていた。 本年度の協力園での対象者のうち,読み合い遊びの経験ありおよび経験なし20名程度のKIDS検査の比較から,上記言語を含む9領域の発達差を比較検討した結果,読み合いでは顕著に言語理解,表出,そして概念理解が促進される傾向が認められた。特に,概念の発達は読み合い遊び経験を継続してきた子ども達に促進的に促される傾向にあった。さらに子どもの興味や発達の未熟さを対象者ほど,読み合い遊びによって,言語だけではなく運動から操作といった粗大から微細な運動発達の発達が促されやすいことが認められた。 nirs計測についても,左前頭下部の活性化はについては明らかであり,これはKIDS検査における言語発達の促進と示すものであるといえるが,その他の変化については現在,実験課題との比較において検討を重ねている。 また,今回の実践では読み合い遊び実践の洗練化やカリキュラム化といった方向でも保育者や教師の支援となる指導方法についても副次的に提供できる可能性が見えてきたため,本年の研究のまとめに加えていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
R1年度の1月ごろから生じたCOVID19の影響下の中,読み合い遊びの実施およびnirs計測のスケジュール,発達検査などの実施等,フィールドを用いた研究であるため大きく影響を受けた。 COVID19下,フィールドの対象児及び現場の先生方への重い負担を避けながらの研究遂行となってしまった。また、共同研究者同士においても連絡が取れない状況がしばらく続いた。現在は定期的にオンラインでのミーティングを行っている。 これらのことから,研究期間を1年延長し,さらに研究の実施にも工夫を加えることとなった。当初,予定していた定点でのnirs計測スケジュールを変更,読み合い遊び実施の実施の方略を変更,および保育者等への発達検査の負荷を軽減するため当初予定していた検査をKIDSに絞ってお願いすることとした。また、この状況下で協力園も再度依頼し了解を得られた園等に絞らざるおえなかった。 この結果,当初予定した継続データの収集の規模が減少したが,なるべく縦断的に追えるように計画を見直し,また,横断的にデータの収集ができるように配慮した。また,COVID19下で感染に配慮しながら「読み合い遊び」するため,遊びの実施の助言や環境づくりを担当している共同研究者からのアドバイスにより,当初計画していた遊びを園等の先生方が主体で動ける環境設定とし、外部担当者の園等への出入りを極力減らしつつ実践を行う形態として研究を継続している。この結果,COVID19の状況に対応しつつ,今年度は,前年度よりも継続の中断を避けられるような体制を整えることはできた。このため現在のところ研究を継続できると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID19の影響がR3年度も続いているため,R2年度からの対策を継続しつつ,実証研究を行っていく。COVID19の影響で,当初のデザインで予定したような時期での発達検査の実施やnirs計測ができないため,縦断でのデータの比較が難しいが,多少のズレを補いつつできる範囲で実践,計測,検査データの収集を行っていく。 R3年度は,計測当初から協力を得られいた園の50名程度の継続の計測データおよび新規20名程度の実践データを収集し,これまで収集してきたデータと合わせて,実証効果の検討を行う予定である。 加えて、論文の作成及び報告書の作成を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
1.R2年度COVID19によって予定したフィールドにおける計測ができなかったため,計測に関わる費および分析に関わる費用について使用できなかった。R3年度は,COVID19の動向に配慮しながら,R2年度できなかった計測および分析にかかる費用に充る。 2.課題時間呈示用のPCの購入とNIRS機器の消耗品の購入を検討している。 3.R3年度は研究の成果を論文及び報告書としてまとめるため,英文翻訳及び校閲といった予算を確保したいと考えている。
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Research Products
(7 results)