2020 Fiscal Year Research-status Report
文化的実践への参加を通した数量発達と大人の支援:1歳から3歳までの縦断的研究
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18K02478
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
榊原 知美 東京学芸大学, 国際教育センター, 准教授 (20435275)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 文化的実践 / 参加 / 数量概念 / 幼児 / 保護者 / 支援 / 縦断研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,幼児が文化的実践に参加することを通して,生得的な数量能力を基盤としつつ,より高度な数量概念を発達させる過程を明らかにすることである。本研究では特に,幼児早期の1~3歳児が参加する文化的実践として家庭および保育園での活動に注目し,幼児の数量概念の発達過程を大人の数量支援の構造との関係で縦断的に捉える。具体的には,子どもが家庭や保育園での活動において自発的に行う数量行動の1歳から3歳までの間の発達的変化,それに対する保育者や保護者の支援とその変化,の2つの側面について検討する。2020年度は,次の2点を実施した。 第1に,昨年度から引き続き,3歳児1名を対象に家庭での活動における数量行動の日誌法およびビデオカメラを用いた観察を行った。日誌法を用いた観察では,家庭において数量に関わる行動が観察された際に,幼児の数量行動とそれが生起した状況を随時具体的に記録した。また,それらの数量行動を発達状況との関わりで考察するため,観察では数量に関わる行動に加えて,家庭において「保護者が成長を感じた新しい行動」についても具体的に記録することとした。記録したエピソードは,のちに質的データ解析ソフトでの分析に用いる準備として,エクセル上で作成したデータベースに入力するなど,必要なデジタル化の作業を行った。 第2に,乳幼児の数量概念の発達に関する最新の研究動向を把握するため,文献のレビューや学会(オンライン開催)における情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画にしたがい,3歳児の数量行動および大人の支援に関わる調査を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は,新型コロナウィルスの感染拡大にともない,保育園への登園自粛や会話の簡潔化を余儀なくされたため,保育者からの日々の情報収集と追加の2歳児・3歳児を対象とした補足的データの収集が難しい状況となった。このため本研究の計画を,家庭における活動に焦点を当てるものに絞り込み,これまでに収集した保育園での活動データは利用可能な範囲で補助的な形で分析に組み込みこととした。2021年度はここまでに得られた知見を用いて,子どもが家庭での活動において自発的に行う数量行動の1歳から3歳までの間の発達的変化と,それに対する保護者の支援とその変化に主に着目した総合的な分析を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウィルスの影響で旅費が未執行となった。また,全体としてデータ分析にやや遅れが生じたことから,データ整理のための謝金も未執行となった。 (使用計画)データ整理・分析に関わる謝金と物品費,状況によっては学会参加のための旅費に使用する。
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Research Products
(1 results)