2021 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患をもつ保護者とその子どもたちー子どもの「主体」と「語り」からのアプローチ
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18K02481
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
畠垣 智恵 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (60436988)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 親の精神疾患 / 精神科受診、通院 / 治療参加 / 子どもの主体性 / 精神医療・福祉専門職 / 地域での支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的(1)精神疾患を抱える保護者をもつ子どもへの支援ガイドライン作成 2018年~2019年に日本、フィンランドでデータを収集した子どものメンタルヘルスに関する論文が海外雑誌に採択された。この論文は、学童期の子どもが感じる主観的幸福感と学校適応や家族関係の良好さについて明らかにしたものであり、本課題の目的(1)に資する基礎研究となると考えられる。 研究の目的(2)精神疾患を抱える保護者をもつ子どもへの支援について、本邦の精神科医療、保健領域における現状を明らかにする 昨年度に続き、NPO法人ぷるすあるは等の支援団体が主催するオンライン研修会に参加し、現状の支援体制に関する情報収集とネットワークづくりをおこなった。昨今、この分野は「ヤングケアラー」という名称のもと注目をされつつあるが、どちらかというと家族の介護やきょうだいの世話を担う未成年者への注目が多く、その他のヤングケアラーとの違いも含め実態の把握がいまだ不十分である。当事者を中心としたNPO法人による地道な活動やごく一部の精神科医師、看護師の理解に留まっており、支援の提供までには至っていないことが明らかとなった。年次計画では、愛知県、東京都、静岡県の精神科医師、看護師、また保健センターで母子保健にかかわる保健師にインタビュー調査およびアンケート調査を行う予定であったが、COVID-19感染拡大とその対応が急務となり、自身が企画した調査全般は中止(延期)となった。また、学会において参加者にアンケート調査を行う予定であったが、学会自体がオンラインとなったため実現しなかった。2021年に入り、ようやくZoomなどを使った他県との情報交換会やネットワークづくりが可能となったが、現在また医療現場の多忙を理由に延期となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
年次計画では、愛知県、東京都、静岡県の精神科医師、看護師、また保健センターで母子保健にかかわる保健師、保育士にインタビュー調査およびアンケート調査を行う予定であったが、2020年3月以降、COVID-19感染拡大とその対応が最優先の急務となったことは明白である。そのため、自身が企画した調査全般は中止(延期)となった。 また、学会において参加者(臨床医、心理専門職)にアンケート調査を行う予定であったが、学会自体がオンライン開催となったため実現しなかった。 2021年に入り、ようやくZoomなどを使った他県との情報交換会やネットワークづくりが可能となったが、現在まだ臨床現場の多忙を理由に延期となっている。 臨床現場での調査協力が得られにくい状況に変化はない。2020年度、2021年度は研究者の勤務する大学においても、COVID-19による影響は甚大かつ多岐にわたった。遠隔授業の準備や学生対応に多くの時間を費やし、結果、研究のエフォートは著しく低下した。 もう1つの調査地であるフィンランドは、令和4年4月現在、外務省による「レベル2:不要不急の渡航は中止」する地域に指定されており、そこへロシア情勢も加わったことからフィンランドでの現地調査や打ち合わせを行うことは極めて困難である。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の収束の見通しが見えつつあるが、いまだ他県への異動や海外渡航は自粛せざるを得ないことから、研究期間の延長を申請した。
まず、2021年度は調査対象地を静岡県内に変更し、協力施設を探したが協力が得られなかった。そのため、調査対象者を医師や看護師ではなく大学生や一般社会人に変更し、精神疾患を抱える親をもつ大学生や社会人を対象とした回想法を用いたインタビュー調査に変更することを検討中である。それに伴い、静岡大学ヒトを対象とした研究倫理委員会へ再度申請をおこなう必要がある。
また、臨床現場においては可能な範囲でのWeb調査をお願いできるよう、現在、協力者を募っているところである。
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Causes of Carryover |
愛知県、東京都、静岡県の精神科医師、看護師、また保健センターで母子保健にかかわる保健師、保育士にインタビュー調査およびアンケート調査をおこなう予定であったが、2020年3月以降、COVID-19感染拡大とその対応が現場の最優先となったことは明白である。そのため、自身が企画した調査全般は中止となった。フィンランドでの現地調査およびフィンランドから共同研究者を招聘し会議やシンポジウムを開催することもCOVID-19感染状況下で両国が渡航制限を敷いており、実現しなかった。 2022年度は調査対象地を静岡県内に変更する。また調査対象者を医師や看護師ではなく大学生や一般社会人に変更し、精神疾患を抱える親をもつ大学生や社会人を対象とした回想法をもちいたインタビュー調査に変更することを検討中である。また、臨床現場においては可能な範囲でのWeb調査をお願いできるよう協力者を募っている。次年度使用分は講演会やシンポジウムの講師謝金、およびWeb調査環境の整備のために充てる予定である。
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