2018 Fiscal Year Research-status Report
学童期にがんを発症した子どもの退院後のヘルスケアにおける意思決定と自己形成
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18K02487
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
道信 良子 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (70336410)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小児がん / 意思決定 / ヘルスケア / 相対的自己 / 参与観察 / インタビュー / 医療人類学 / 応用人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度(1年目)は、研究実施医療機関および所属機関の倫理審査を受け、承認を受けて調査を開始した。調査では、文献・観察・インタビューの資料収集を目指した。(1)小児がんの子どもの治療に対する意思決定について、協働意思決定への参加と、その課題に焦点をあて、世界の動向を文献調査した。医学・医療系の文献を収集し、協働意思決定への小児患者の参加は、子どもの人権意識が高く、高度医療が発達している欧米やヨーロッパにおいても課題であり、その具体的方法に関する科学的根拠も不十分であることがわかった。臨床できめの細かい研究を蓄積し、患者・家族の意向を正確に聞き取っていかない限り、協働意思決定は進展しないと結論づけた。(2)通院患者4名を対象に、毎日のヘルスケアにかかわる意思決定について、インタビューを行った。過去と現在の思い、将来に対する希望についてもていねいに聞き取りを行った。(3)通院患者4名を対象に、医師・看護師との対話やかかわりについて、参与観察を行った。(4)8月以降、収集資料の分析に着手し、小児がん医療における意思決定の文化が病棟において育まれる諸段階について明らかにした。(5)第79回米国応用人類学会において、子どもの相対的自己と意思決定の社会・文化的背景について報告をした。学会では、がんの人類学の発表グループに加わり、がんの医療の現場にかかわって活動する人類学者の役割や、人類学者に対する期待について討論が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倫理審査が円滑に行われたことにより、当初予定通り研究に着手できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度(2年目)は、文献・観察・インタビューの資料収集を継続し、分析を進める。(1)小児がんの子どもの治療に対する意思決定について、協働意思決定への参加と、その課題に焦点をあて、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアの動向について文献的考察を行う。(2)通院患者4~6名を対象に、毎日のヘルスケアにかかわる意思決定について、インタビューを行う。(3)通院患者4~6名を対象に、医師・看護師との対話やかかわりについて、参与観察を行う。(4)8月以降、資料の分析に着手し、意思決定が育まれる社会・文化的状況について、さらに深く分析・考察を行う。(5)国際学会において、研究報告を行い、各国の状況について意見を交わす。(5)医学教育に研究の成果を還元する。
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Causes of Carryover |
今年度購入予定であったパーソナル・コンピューターについて、予定していた機種が販売されなかったため、次年度に繰越し、販売されたらすぐに購入する。資料保存の観点から、使い慣れた機種が望ましく、研究の質を担保するためにも、購入を延期した。
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Research Products
(2 results)