2018 Fiscal Year Research-status Report
同僚性を介した保育者の専門性形成モデルの構築に関する研究
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18K02488
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田中 浩司 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (50535036)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 保育者の専門性 / 同僚性 / 幼稚園 / 実践コミュニティ / 不確実性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、保育者の同僚性という観点から、幼稚園・保育園において協同的活動を援助する保育者の専門性形成モデルを構築することにある。 本年度は、研究初年度として、幼稚園年長クラスの専門性形成過程を明らかにすることを目的として、東京都内の幼稚園の協力を得て、2018年4月から2019年3月までの1年間にわたり、毎週1回の保育観察と、保育終了後に当日の保育を振り返るインタビューを行った。また、年度途中には保育者全員が参加した保育カンファレンスに同席しその様子を観察し、年度の最後には管理職に対するインタビューを実施した。加えて、園内の掲示物や製作物の写真、年間100通に渡って発行された保護者向けの保育通信を分析資料として得た。 データの分析は現在も進行中であるが、上記のデータの質的な分析を通して、現状では以下のような結果が得られている。まず、保育者は何が起こるか分からないという【実践の不確実性を楽しむ】ことを中心としながら、小学校教諭を含む多様な【実践コミュニティとの相互作用】を行い、【子ども達のこれまでの経験をつなぎ合わせ】、【クラス固有のストーリー】を作り上げている。 研究成果については、乳幼児教育学会においてシンポジストとして登壇し、経過の発表をおこなった。これらの実績に加えて、保育園における協同的活動に関する実践記録の収集と分析、保育者に対するインフォーマルなインタビューを行い、二年目の調査の準備とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幼稚園における保育観察・保育者へのインタビューは予定通り実施することが出来た。得られた資料を下に、年度途中に学会発表を行ったが、現在も引き続き分析作業を継続していている。また、保育学関連の文献の整理も同時に行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目にあたる2019年度は、保育園での保育観察・保育者へのインタビュー・保育カンファレンスの観察を行う予定である。初年度、保育者へのインタビューだけでは十分なリフレクションが得られにくいことが判ったため、保育園での調査においては担任以外の保育者へのインタビューや、保育カンファレンスの頻度を増やす予定である。 また、引き続き初年度に得られたデータの分析を行い、保育者の専門性形成モデルの精緻化を行っていく。
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Causes of Carryover |
昨年度はインタビューデータの書き起こしを外部業者に委託せずに研究を遂行したため、表記のような未使用額が発生した。今年度は保育園のインタビューデータの分析に際しては、外部業者に委託する予定であり、上記の金額を加えた支出が見込まれる。また、インタビューに際してはすでに備品として所持しているレコーダーに加えて、指向性マイクの必要性を感じており、こうした物品の購入に経費が必要となると考えている。
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Research Products
(6 results)