2020 Fiscal Year Research-status Report
同僚性を介した保育者の専門性形成モデルの構築に関する研究
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18K02488
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田中 浩司 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (50535036)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 同僚性 / 協同的な遊び / 援助モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、保育所における協同的な遊びについて、週1回の頻度で保育観察を行うと共に、保育者へのインタビューを行った。新型コロナウィルス感染拡大のため、一時的にフィールド調査を中断したが、約半年にわたって継続的なデータ収集を行うことができた。得られたデータをもとに、以下の3点について研究を行い、成果を公表した。 1)保育所における協同的な遊びの観察と保育者へのインタビューを通して、同僚性を介した専門性の形成過程を明らかにした。研究成果の一部は、日本保育学会において「協同的活動の計画過程における保育者の同僚性」としてポスター発表を行った。 2)研究過程において、協同的な遊びの成立に幼児の「所属感(sense of belonging)」が重要な役割を果たすことが見えてきた。所属感については、ヨーロッパ及びオセアニア地域を中心に、心理学と乳幼児教育学を架橋する形で展開しているが、我が国では十分な理論的検討が行われていないことが分かったため、共同研究者と共に、「乳幼児教育における所属感(Sense of Belonging)に関する文献的検討」として心理科学(査読付き学会誌)に投稿し掲載された。 3)本研究を通して見出された知見を幅広く公表するために、「たのしく学べる乳幼児のこころと発達(福村出版)」において、「遊び」の章を執筆した。 なお、当初の予定では2020年度までの3年度で研究を完結する予定であったが、積み残した点があったため、1年間の延長をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定した研究内容に加え、乳幼児の所属感についての理論的検討を詳細に行うことが、本研究を実現する上で必要であると考え、文献研究の幅を広げたため、資料収集及びその整理に時間を要した。また、新型コロナウィルス感染対策の関係で、保育園でのデータ収集が十分に行えなかったことも研究の遅延に影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年延長し、2018年度に収集した幼稚園での協同的活動の援助過程と、2019・2020年度におこなった保育園での援助過程についてのデータを統合したモデル構築を行う。なお、収集したデータについてインタビューが必要な箇所が見られるため、一部、補足的なインタビューを行う。その上で、研究成果を学会において公表すると共に、学術論文として公表し、最終年度の報告書を作成する。
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Causes of Carryover |
研究成果報告書にかかる費用を計画していたが、作成することができなかったために、執行できなかった。
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Research Products
(4 results)