2020 Fiscal Year Research-status Report
逆境にある子どものレジリエンスを育てる場としての「放課後児童クラブ」の改善策
Project/Area Number |
18K02489
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
松嶋 秀明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (00363961)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放課後児童クラブ / レジリエンス / フィールドワーク / 社会情動的スキル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、貧困や被虐待経験など、逆境的でリスクのある生活をおくる子どもの「レジリエンス」を育てる場のひとつとして「放課後児童クラブ」に注目し、クラブおける子どもの生活を数量的・質的な方法によって縦断的にとらえること、そして、研究者と現場指導員とのカンファレンスを媒介とした協働をすすめながら、当該クラブにおける実践の質を高めることを目的としてきた。 昨年度にひきつづき、令和2年度も、いくつかの放課後児童クラブで、月に1-2度程度、継続的に参与観察を行うとともに、指導員へのインタビューを行ったり、意見交換をとおして実践の改善をはかるための戦略を協働で模索してきた。年度を重ねるごとに心理学の専門家の立場からの発言を求められることも増えてきたが、当初からの計画どおり、現場のクラブ職員の大変さをねぎらい、おこなわれている実践の価値を承認するところからはじめることを心掛けてきた。そのこともあってか、研究者の受け入れに関わっている施設長はもちろんのこと、直接関わらないクラブ職員からも、雑談のなかで子どもについてのご自身の迷いや葛藤が語られたりすることが増えた。また、クラブに所属する子どもからも研究者の存在を認知され、その存在を受け入れられていることが感じられることが増えた。こちらも各々の子どもの個性の理解を職員と共有したうえでの対話ができるようになった。こうした子どもとの関係性や、指導員との継続的な情報交換などを通して、これまでの指導員の取り組みを承認しつつも、関わりのなかでの気になる点についても開示するなどの研究者としてのフィードバックをおこない、実際に実践の変革にいかしてもらうことができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、学童期にある子どもがクラブにおいてどのように過ごしているのかをみる必要がある。今年度に関してはコロナ禍によっての休校措置などはなく、参与観察はある程度できたものの、質問紙などによる評価は行うことについては困難な状況があった。また、当初、 予定されていた学会発表などについてもコロナ禍による影響から学会そのものが中止されたり延期されたりしたため、研究計画の発信にあたってのスケジュールをみなおす必要ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍によるクラブの運営形態の変化、国際学会などの延期・中止の変更をふまえて、スケジュールをみなおしつつ成果の発信に、ひきつづきつとめていきたい。具体的には、次年度に研究継続を申請することとした。これまで協力関係を築けている放課後児童クラブにおいて、職員の働きかけのあり方などについて観察、インタビュー、および子どもがクラブをどのよう にとらえているのかについての調査を引き続きすすめていく。と同時に、発表の場をみつけて発信を続けていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍にともなって予定されていた海外学会出張がなくなった(あるいは次年度に延期された)ために旅費の支出が減少したことと、予定されていたデータ収集がコロナ災禍にともなってで きなかったことにともない、データ入力や文字起こしにかかる謝金が必要なくなったため
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[Book] 地域と協働する学校2021
Author(s)
時岡 晴美、大久保 智生、岡田 涼、平田 俊治
Total Pages
216
Publisher
福村出版
ISBN
9784571101939
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