2021 Fiscal Year Research-status Report
逆境にある子どものレジリエンスを育てる場としての「放課後児童クラブ」の改善策
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18K02489
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
松嶋 秀明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (00363961)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放課後児童クラブ / レジリエンス / フィールドワーク / 社会情動的スキル |
Outline of Annual Research Achievements |
放課後児童クラブのどのようなあり方が、リスクのある子どもの居場所となるのかを考える際、なにがプラスの働きかけになるのかといったように「加点」項目を考えるのは難しい。その一方で、なにがマイナスになるのかを考え、その機会を減らしていくことは相対的にみれば児童にとって良い環境を整備することにつながると思われる。発達障害がある子どもへのクラブ内での対人トラブルをなくすことはそのひとつと考えられる。 従来から放課後児童クラブをめぐっては、発達障害などがある子どもは、トラブルメーカーとみなされやすく、結果的にクラブを退所することも少なくなかった。実際、職員の困難感につながっているという研究も多い(例えば、保坂, 2017;宮里, 2015)。ここで「問題」は関係性のなかで生み出されるものであり、「障碍」があることがその原因とは限らないという社会構築主義的な立場(例えば、Gergen, 1999)にもとづけば、発達障害であることがなぜ「問題」とされるのかを逆に考えていくことが重要になる。クラブにおいて職員たちはどのようにこの子どもたちの「障碍」をどのようによみとり、どのように意味づけて関わっているのかをクラブのフィールドワーク、インタビューなどから検討した。クラブにおけるルールが、そこから逸脱する子どもを逸脱者として可視化するものとなっており、仲間からの排斥などにつながっていることがうかがえた。ルールは子どもの安全をまもるためにつくられたものだが、その運用において工夫する必要があるかもしれない。放課後児童クラブにおいて、よりよい環境づくりをするにはどうしたらいいのかをクラブ指導者と協働で考える場づくりをすすめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、学童期にある子どもがクラブにおいてどのように過ごしているのかをみる必要があるが、昨年度にひきつづき、コロナ禍に起因するクラブの閉鎖などがあいつぎ、安定的にクラブを運営することが難しい状況がうまれたため、フィールドワークも滞りがちとなった。そのため、最終的なまとめをするうえでのデータ収集、資料収集などが遅れている。令和3年度は、放課後児童クラブにおいて、よりよい環境づくりをするにはどうしたらいいのかを協働で考えていく場をもったが、コロナ禍によるクラブ閉鎖などの影響から回数がすくなく不十分であった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度にひきつづきスケジュールをみなおしつつ成果の発信につとめていきた い。具体的には、次年度に研究継続を申請することとした。これまで協力関係を築けている放課後児童クラブにおいて、職員の働きかけのあり方などについて観 察、インタビュー、および子どもや大人がクラブをどのようにとらえているのかについての調査を引き続きすすめていく。と同時に、発表の場をみつけて発信を続け ていく。
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Causes of Carryover |
予定されていたデータ収集がコロナ禍にともなってできなかったことにともない、データ入力や文字起こしにかかる謝金が必要なくなったため。
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