2020 Fiscal Year Research-status Report
遊びの場・生活の場での高精度運動データで鮮明化する極低出生体重児の運動発達
Project/Area Number |
18K02493
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
野村 優子 北里大学, 大学病院, 主任 (50790755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 春彦 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (30274062)
釼持 学 北里大学, 医学部, 講師 (60317039)
大岡 麻理 北里大学, 医学部, 助教 (90458852)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 極低出生体重児 / バランス能力 / 歩行分析 / 幼児期 / 健常児 |
Outline of Annual Research Achievements |
早産児と正期産児の歩行時の歩調(ケイデンス,歩幅,ステップ長など)とバランスの時間的・空間的特徴を比較することを目的とした横断的研究を実施した。適応基準は早産児で6歳以下の歩ける児とし除外基準は歩行が自立していない児とした。被験者は早産児9名(男4名、女5名)と年齢・性別をマッチさせた正期産児9名とした本研究は当院の倫理審査委員会の承認を得ており両親は子供の研究参加に同意した。 方法は歩行周期を測定するために、圧力センサーマット「Walk Way」を使用した。各被験者には,スタート位置から目標地点まで歩くように指示した。静的バランスは、床とマットの上で30秒間測定した。立位では,各上肢は体側に下垂させ、足の間隔は10cm離した。静的バランスでは、重心動揺計(床上)と10cm厚のクッションマット(マット上)を用いて測定した。測定時には、被験者の目線の高さにタブレットを置き、頭をできるだけ動かさないようにした。統計解析では、ケイデンスとスタンスを歩行変数の時間係数とし、ストライドとバランス変数を距離係数とした。歩行距離係数は身長で補正した。バランスと歩行を両群間で比較するためにMann-Whitney U-testを行い、有意水準は5%未満とした。 結果は、早産児群と正期産児群では身長の中央値は94.2cmと94.5cm、体重は12.0kgと14.0kg、ケイデンスは158.7歩/分と153.8歩/分、立位時間は60.0%と59.0%、ストライド長は63.6cmと61.4cm、歩幅は31.0cmと34.4cm、歩隔は9.0cmと7.3cm、総軌跡長は5950.4mmと7848.2mm、外面積は2273.0mm2と1482.0mm2、床上での最大振幅は左右は95.0mmと58.0mm、前後は68.0mmと58.0mm、マット上での左右は73.0mmと97.0mm、左右は70.0mmと92.0mmであった。これらの差はいずれも有意ではなかった。 早産児は正期産児と比較して、体格に差がなく測定時に視線が固定されている場合では歩行の時間的・空間的特性、バランス能力とも差が見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
極出生体重児の計測は病院内で行なっておりCOVID-19への感染対策のため一時募集を中断した経緯により症例数が少なかった。健常児の静止立位バランス能力・歩行分析の一般保育園での計測は3年間の縦断的なデータを収集することができたので学会報告、論文作成に向けて準備を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は極低出生体重児の体幹機能について健常児との違い、健常児の静止立位バランス能力・歩行分析について3年間の縦断調査結果を論文にする。 修正2歳児、3歳児の極低出生体重児を対象に静止立位バランス能力および歩行分析を行なう予定だが、COVID-19の感染状況によっては被験者の募集および計測が滞る可能性がある。
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Causes of Carryover |
2020年度はCOVID-19の影響により極低出生体重児の募集・計測が滞ったため次年度使用額が生じた。 2021年度は目標の対象者数を目指し参加者の募集を行っていく予定である。
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