2019 Fiscal Year Research-status Report
「協同的な学び」による幼児教育・保育実践の質に関する研究
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18K02496
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
大豆生田 啓友 玉川大学, 教育学部, 教授 (20259170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
無藤 隆 白梅学園大学, 子ども学研究科, 教授(移行) (40111562) [Withdrawn]
松永 静子 秋草学園短期大学, その他部局等, 教授 (70551563)
荒牧 美佐子 目白大学, 人間学部, 准教授 (80509703)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 保育 / 協同的な学び / 保育の豊かさ / 子ども自律型保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、交付申請書に記した研究の目的どおり、「子ども主体の協同的な学びによる保育(幼児教育)の実態とその意義(保育の質との相関)を明らかにすることを目的に行う」ものである。先行研究等についての文献研究、質問紙調査、インタビューによる質的調査によって目的を達成させる。「研究実施計画」に添って、以下のように研究を進めてきた。 初年度(2018年度)の研究の目的は、幼稚園・保育所・認定こども園への全国調査により、「協同的な学び」の保育の実態を明らかにすることにある。特に、(1)「協同的な学び」の実施状況および、(2)タイプの分類、(3)「協同的な学び」の実践を支える保育形態および、(4)保育の質との相関を明らかにすることであった。そのため、(1)~(4)を踏まえ、現場の実態のヒアリングを行ったほか、先行研究について文献調査を行い、質問紙調査の準備を行ってきた。 次年度(2019年度)は、質問紙調査を作成、調査を行い、その分析を行うことであった。予定通り、質問紙調査の作成、調査、分析を行い、その成果については、2020年3月に日本発達心理学会において発表を行った(荒牧美佐子・大豆生田啓友・松永静子・無藤隆「保育における「協同的な学び」の背景要因及び保育の豊かさとの関連」)。分析の結果、職員間の同僚性の向上や保育を振り返るための時間の確保といった園長の取り組みが、保育者の「受容的な関わり」や「子ども自律型保育」へとつながり、それらが「保育の豊かさ」を高めることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況については、研究実績の概要で示した通り、質問紙調査から結果を導き出し、日本発達心理学会において発表を行った。現在、さらに、その質問紙調査から導き出された観点を基盤にしながら、2つの質的調査を行う準備を進めている。前出の調査から得られた「保育の豊かさ」に結び付く「子ども自律型保育」の志向性の高い園に対して質問項目を作成し、半構造化面接を行うことで質を高めている園はどのような質を高めるためのことを行っているかその要因を明らかにする。現在、その対象園も決定し、倫理審査を受ける準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスによる緊急事態宣言下のため、聞き取り調査を行うことがしばらく難しいことが予想される。予定では7月までに聞き取り調査の実施、10月までに整理・分析、12月までに研究のまとめを進める予定ではあるが、予定通りにいくかどうか現段階では、見通しが立たない状況にある。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、第一に2019年度実施したアンケート調査が計画よりも安価にすんだこと、また、新型コロナウィルスにより日本発達心理学会が中止になり、出張費が大幅に減少したことなどがあげられる。また、質的調査において購入予定だった分析ソフトの購入、現場の実地調査等を、研究の進展上、なかったこともあげられる。それを踏まえて、今年度は、分析ソフトの購入、実地調査の実施、アルバイトによる調査分析の補助等により、使用計画を検討している。
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