2019 Fiscal Year Research-status Report
モザイク型ダウン症候群の予後(細胞遺伝学的解析、臨床、保育・教育・社会適応)
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18K02497
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
高野 貴子 東京家政大学, 家政学部, 教授 (50236246)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダウン症候群 / モザイク / 標準型 / 染色体検査 / トリソミー21 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度に染色体分析を行ったモザイク型ダウン症候群患者5名(男1、女4、染色体検査時点11ヶ月~23歳)の診察と検査を行った。5名中4名は先天性心疾患(ASD2名、ASDとVSDとPSのため手術、TRとMR)を有し、残り1名は右脚ブロックがある。臨床の概要は ①24歳女性は発達障害を合併し会話が苦手だが、高校まで普通級在学、4年制大学英語コミュニケーション学科を卒業、現在就労移行事業所に週5日通所している。実用英語技能検定準2級、TOEICスコア540点 ②23歳女性は中学までは普通級、高校はサポート校卒業後、一般就労の契約社員として働いている。先天性心疾患(ASDII型)があるが、休日は障害者グループの殺陣の練習を活発に行っている。10歳時のWISC-III検査のIQ=53 ③13歳女性は、日常会話は全く問題なく、私立の小学校普通級で不登校となったため、転居後特別支援学校に入学、中学1年生である。12歳時のWISC-IV検査のIQ=45 ④8歳男児も日常会話に問題なく、特別支援学級小学3年生である。8歳時の脳波と頭部MRI検査は異常なし、WISC-IV検査のIQ=76 ⑤2歳女児のみ生直後と比べて染色体モザイク率の激減が認められなかったので、染色体の再検査を予定している。5名のモザイク型ダウン症候群患者は皆社会適応が良好で、それぞれの目標を持って社会生活を営んでいる。 なお、標準型ダウン症候群8名(男6、女2、16~38歳)の末梢血染色体分析と口腔粘膜標本のFISH法による染色体分析も行った。さらに検体数を増やす予定である。 British Medical J.Paediatrics Open(2019)とEuropean J.Medical Genetics(2020)に論文を出すことができた。 BMJPOの内容を国際学会にて発表し、費用の一部を科研費にて支出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダウン症候群患者全体の約2%にのみ診断されるモザイク型トリソミー21患者は5名である。昨年に引き続き診察を行い、臨床所見をまとめた。染色体検査時点で11ヶ月女児以外の4名では出生時と比べて、染色体検査のモザイク割合の顕著な減少が認められた。次年度11ヶ月女児が2歳9ヶ月ごろになっている時点で染色体検査の再検査を行い、モザイク割合の減少が幼児期早期に起こるか否かを突き止めたい。 また、標準型ダウン症候群患者8名の末梢血と口腔粘膜標本の染色体分析を実施することができた。標準型ダウン症候群患者は受診患者人数が多いので、継続して染色体分析数を増やすことができる。 したがって概ね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
モザイク型トリソミー21患者は5名のうち1名の女児の末梢血と口腔粘膜標本の染色体分析の再検査を行う。これらの結果から、出生時と比較してモザイク率の減少する事実を整理する予定である。臨床所見の詳細も纏めている。 標準型ダウン症候群患者の末梢血と口腔粘膜標本の染色体分析結果は老化と関連のある意味のある解釈が成り立つか、染色体検査数を増やし、文献調査を行って検討する。
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Research Products
(4 results)