2020 Fiscal Year Research-status Report
A study of mother-child interaction that fosters children's decision-making abilities
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18K02500
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Research Institution | Tokai Gakuin University |
Principal Investigator |
川嶋 健太郎 東海学院大学, 人間関係学部, 教授(移行) (80360204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓮見 元子 川村学園女子大学, 文学部, 非常勤講師 (60156304) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 意思決定支援尺度 / 母子関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は新型コロナウィルスの影響により,研究協力いただいている幼稚園への立ち入りが出来ず,行動観察・調査用紙の配布など本研究において重要な研究方法の実施が出来なかった。また学会もオンラインで開催されるのみであったため,参加・発表回数も減少した。 そこで令和2年度は昨年度末に行ったWeb調査(小学生調査)の分析と発表,新たに保育者を対象にしたWeb調査(保育者調査)の実施を行った。 Web調査1:小学生の意思決定行動の育成に関わる両親の働きかけに関するWeb調査であり,調査協力者は小学生を持つ母親・父親1200名であった。養育行動に関する既存の尺度(肯定的・否定的養育行動尺度)と本研究で作成している尺度(子どもの意思決定評価尺度および子どもの意思決定タイプについての保護者の評価),習い事についての項目について検討した結果を研究論文紀要,学会において発表した。 Web調査2:保育者の幼児への意思決定支援行動についてのWeb調査であり,調査協力者は保育園・幼稚園・認定こども園,その他の保育施設に勤める保育者400名であった。調査項目は①意思決定支援行動48項目:保育者に対するインタビュー調査を元に120項目を作成し,保育者の意見を受けて48項目を選んだ。この他に併存尺度として②保育者効力感尺度(三木・桜井, 1998),③養育行動尺度(大内他,2015),④保育者ストレス評定尺度(赤田,2010),⑤保育者スキル尺度(岡本・立元,2007),を用いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
保護者による子どもの意思決定支援の行動観察に関しては昨年度のうちに,意思決定支援行動を安定的に引き起こすための観察課題「服の着せ替え課題」が完成している。この課題は5つの場面(幼稚園教室、体育室、公園、雨降り、私の好きな服)の絵,プラスチック板で作成された男の子人形、女の子人形,およびラミネートフィルムで保護された男女別の上着・ズボン・スカート・制服・体操服・靴下・靴からなる。幼児と母親がペアとなり,各場面にあった服装を自由に会話しながら組み合わせて人形に着せていく。これまでの予備的観察により,幼児・母親それぞれの行動についてコーディング用の行動カテゴリーを作成している。 令和2年度には40ペア程度の行動観察を計画していたが,新型コロナウィルスの影響により研究協力をしていただいている幼稚園への立ち入り,観察の実施が全面的に出来なくなった。このため行動観察の進捗は昨年度から進んではいない。 意思決定支援尺度の作成に関しては、昨年度までに意思決定支援行動について幼児の保護者および小学生の母親に対してWeb調査を行っている。因子分析を行った結果,意思決定支援行動について5因子(親主導・急がせる支援,選択肢絞り込み・助言支援,話し合い・説明による支援,子どもの意思尊重・待機支援,理由を聞く支援),意思決定支援観についても5因子(親としての願い,選択の制限,親への従順,子供との妥協,子供に選ばせる理由)が抽出されている。令和2年度は保育者を対象とした意思決定支援行動のWeb調査を実施し,因子分析を行った結果,2因子(受容的な支援,行動を促す支援)が抽出された。以上について,既存の尺度との併存的妥当性が検討されている。行動観察とあわせて参加者には以上の尺度に回答を求め,具体的な行動と尺度得点との関連を検討する予定であったが,行動観察が実施できないことからこの点については進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
の延長申請を検討している。延長をすることで本研究が実施可能な理由は,①幼稚園でのコロナ対策方法が固まってきたことから,保護者への行動観察参加の呼びかけや幼稚園での観察の実施が限定的であるが可能になってきている,②大学の心理臨床センターの協力を得て,学内に保護者と幼児の行動観察の実施が可能になった,③今後,ワクチン接種が進むことで観察実施が容易になると期待されること,からである。 令和3年度の意思決定場面での母子相互作用の行動観察実施に当たっては、コロナウィルス感染に注意を行い、参加者が安心して参加できるように対策を行う。母親に対して教示(例えば、制限時間がある、または成績が評価されるなど)をすることにより、母親の意思決定支援行動に変化が見られるか検討する予定である。 意思決定支援尺度作成に関しては、令和2年度同様にWeb調査会社を利用することでコロナウィルスの影響が継続しても、調査実施が可能と考える。これまで状況を設定せずに母親・保育者の意思決定支援行動について項目を作成し,質問を行ってきたが本研究は意思決定場面での母親と子どもの相互作用を検討していることから,令和3年度はいくつかの「状況」・「幼児の行動」がある場合に,代表的な意思決定支援行動(例えば,選択肢を与える,ヒントを与えるなど)が生起する程度を評定する形式の質問項目を作成する予定である。また行動観察の実施と同時に母親に対して作成した意思決定支援尺度の評定を求め,尺度の妥当性を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,新型コロナウィルス感染拡大を防ぐために研究に協力していただいている幼稚園等への立ち入りが制限され,行動観察を実施することが出来なかったこと,学会もオンラインで開催されることになり旅費などが不要になったことの2点である。 今年度の交付金の使用に関しては次のように計画する。研究推進方策で述べたとおり新型コロナウィルスの感染状況によって研究協力を頂いている幼稚園等の観察実施の可否の程度に応じて研究期間の延長申請を行う。現在の状況では研究期間の延長が必要と考えられる。延長が認められれば本年度は行動観察の実施・Web調査会社を利用したアンケート調査等で70万円程度を使用し,残りを来年度使用する。
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Research Products
(3 results)