2021 Fiscal Year Research-status Report
小規模保育施設における保育運営と建築計画に関する基礎的研究
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18K02510
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
辻川 ひとみ 帝塚山大学, 現代生活学部, 教授 (70388883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉住 優子 帝塚山大学, 現代生活学部, 客員研究員 (60571180)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小規模保育 / 施設計画 / 施設基準 / 運営 / 認可 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は小規模保育施設のあり方を施設内容と運営管理の両側面からの実態調査を通じて明らかにし、今後の小規模保育事業における施設計画の指針を得る事を目的とするものである。平成30年度は第1段階として小規模保育事業を実施している全国の自治体を対象にアンケート調査を行い、234自治体における制度の概要と現状を把握した。平成31年度は第2段階として、第1段階で回答を得られた234自治体で運営されている小規模保育施設3,068件を対象にアンケート調査を行い、637施設の保育運営、管理の状況、諸室と設備の状況、連携施設の実態について明らかにする事ができた。令和2年度は第2段階の調査結果を基に更なる分析を行い、開設時の整備状況、施設の平面構成と使い方との関係について分析を進めた。令和3年度は第1段階と第2段階で得られたデータを比較整理し、小規模保育施設の認可基準に関わる問題点を明らかにした。結果、認可基準に関しては、1)認可プロセスにおいて建築を専門とする職員の関りが少なく図面等の確認作業が困難な状況である事、2)本来は保育施設でない集合住宅や戸建住宅を利用して運営しており、改築・改修計画において建物種類に応じた整備が求められる事、3)保育室の設置階において8割以上が保育室を1階に設置しており、基準が制限されるべき状況である事、4)7割以上の施設で0歳児を分けた保育が行われ、1歳以上児と分離して保育できる面積や設備基準が求められる事、等が明らかとなった。更に園外活動の現状については、1)90%が施設を中心とした半径1.2km圏内で園外活動を行なっている事、2)施設が園外活動に利用している資源は①「体力作りや自然に触れる」事のできる資源、②「人と触れあう、または集団体験ができる」資源、③「教養・文化・社会の事象を学ぶ」資源の3種類の保育資源タイプに分けられる事、等が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年に行った全国の自治体を対象としたアンケート調査「第1次調査」により、各自治体で設定された小規模保育事業における施設の設置基準について把握する事ができた。さらに平成31年度に行った小規模保育施設を対象としたアンケート調査「第2次調査」により、諸室・設備の実態と施設運営について把握し、令和元年から令和2年にかけて自治体における小規模保育事業の取り組み実態を示した「第1次調査」の結果と、小規模保育施設の現状を示した「第2次調査」の結果を比較整理し、小規模保育施設の認可基準に関わる課題と提案について考察した。令和3年にはこれまでの成果を纏めた論文作成を行い、同年12月に日本建築学会計画系論文集へ投稿することができた。また同時に、小規模保育施設が行っている園外活動の実態について分析を行ない、その成果を論文にまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年12月に本研究の成果を論文として取り纏めたものを、日本建築学会計画系論文集へ投稿した。査読期間が年度を跨いでしまい、事業期間の延長を求めた。令和4年4月に無事採用通知を得たため、本研究は終了とする。
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Causes of Carryover |
令和3年12月に本研究の成果を論文に纏めたものを日本建築学会計画系論文集に投稿したが、採用の可否が年度内に決定されず、論文掲載料の支払いが完了できなかった為、掲載料として執行予定であった未使用額を次年度に持ち越す必要が生じた。 なお令和4年4月に採用結果の通知があり、同年9月に掲載される予定である。今年度未使用額は論文掲載料として執行する。
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