2019 Fiscal Year Research-status Report
病棟保育士の専門性の特定と新しい病棟保育士養成カリキュラムの開発
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18K02512
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
入江 慶太 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (10508972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹川 拓也 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (00413518)
尾崎 公彦 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (40270003)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 病棟保育士 / 専門性 / 養成カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、病棟保育士の専門性を特定し、その基礎となる力を学生が身に付けるための養成カリキュラムを開発することである。本年度は3年計画の2年目にあたる。 本年度は3つの学会・研究会(日本医療保育学会、日本小児診療多職種研究会、日本保育者養成教育学会)における発表を行い、病棟保育士の専門性に関する先行研究から明らかになったこととこれからの研究課題について意見交流、情報収集を行った。その結果、8つの専門性(①発達援助、②他職種連携、③生活援助、④受容・共感、⑤社会的責任、⑥関係構築、⑦環境構成・計画、⑧医療的知識・技術)を抽出することができた。また、情報収集から病棟保育士の中にも「認定資格なしの病棟保育士」と医療保育専門士やHPS(ホスピタルプレイスペシャリスト)、CCS(療養環境支援士)といった「認定資格を持つ病棟保育士」の2層構造が明らかとなった。 次に、病棟保育士が勤務している可能性がある病院を小児入院管理料の申請データから選定し、前述の8つのカテゴリから作成した病棟保育士の専門性に関するアンケートを送付した(令和2年4月末回収〆)。回収したアンケートは分析の途上ではあるが、現在のところ、病棟保育士の2層(認定資格なし・認定資格あり)で有意差のある専門性(前述の②他職種連携と⑤社会的責任)が明らかになっている。つまり、認定資格を持っていない病棟保育士は認定資格を持っている病棟保育士よりも、他職種連携と社会的責任の意識が相対的に低いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来の研究実施計画では、本年度までに病棟保育士の専門性に関する文献研究、アンケート調査(量的検討)、インタビュー調査(質的検討)を終えることとなっていた。しかし、文献研究によるアンケート項目の選定の遅れが業務多忙により生じ、アンケート調査の実施の開始が遅れてしまった。また、インタビュー調査に関しては、予定していた本年度末の病院への訪問が新型コロナウイルスの影響で難しくなり実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査(量的検討)については、令和2年4月末締切で回収したアンケートが314通(令和2年5月7日現在)回収されているため、5月中にアンケート解析を修了する。6月~9月の期間に遠隔通信による病棟保育士へのインタビュー調査(量的検討)を行い、病棟保育士の2層構造による課題も含めて、結果をまとめたい。得られた量的、質的結果をもとに、残りの期間で養成カリキュラムの開発と論文執筆と発表準備(日本保育学会、日本乳幼児教育学会を想定)、報告書の作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は2つある。1つ目は病棟保育士へのインタビュー調査の未実施(主に旅費)、2つ目はインタビュー調査未実施による調査データ起こしの未実施(主に人件費・謝金)である。 次年度の使用計画については、当初予定していた養成カリキュラムの検討に執行する額の他、前述の未実施項目について予算を執行していく予定である。しかし、新型コロナウイルスの影響次第で、病院への直接的な訪問や学会発表が制限される場合も考えられるため、旅費等の執行が難しくなる可能性もお含みおきいただきたい。
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