2018 Fiscal Year Research-status Report
幼児期,児童期の道徳感情をふまえた教材開発とその効果の検証:罪悪感と恥に着目して
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18K02520
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
石川 隆行 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (50342093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 鮎美 島根大学, 学術研究院人間科学系, 講師 (90638181)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 罪悪感 / 恥 / 道徳性 / 道徳教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国では,道徳が教科として位置づけられ,道徳教育の効果的な授業実践のため,新たな教材開発が求められている。子どもの道徳性の伸長には道徳感情の育成が重要との指摘がある。それらの指摘をもとに,教材を開発するためには,心理学の手法や知見を用いて従来の道徳教材を検証し,子どもの道徳感情の学習をふまえた物語の開発,また道徳の教科化のねらいにある幼小連携を含めた教材が必要となる。そこで,本研究は,道徳感情とされる罪悪感と恥に着目し,幼児期,児童期を対象とした新たな道徳教材の開発を進めることを目的とした。 本年度は研究の第1段階として,既存の道徳教材に着目し,道徳感情である罪悪感や恥がどのように喚起されるか,喚起される場面や状況はどのように描写されているのかについての検証を行った。 罪悪感,恥に関する道徳感情を高める従来の道徳教材について,幼稚園,小学校の教諭を交えて検討したところ,幼小連携をふまえた点を鑑みると,絵本や絵本形式の教材が有効であることが判明した。そこで,市販されている絵本を用いて,絵本の主人公と読み手において,罪悪感,恥,道徳心,および基本感情が喚起されているのか,また,その絵本が道徳性などの心理特性にどのような影響を及ぼすのかについて,大学生を対象とした検討を行った。その結果,罪悪感と恥やその他の基本感情を喚起する絵本が見いだされ,またそれらが道徳性に関連する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
道徳感情とされる罪悪感や恥を喚起する教材,絵本についての検証を行い,本研究における第1段階の目的を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査結果から明確となった絵本を手がかりに,実際に教材として使用できるよう罪悪感,恥に関する新たな場面,例話を作成し,幼稚園,小学校の教育現場にて実践できるよう進め,本研究における第2段階の目的の達成を目指す。
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Causes of Carryover |
当初の見込みより航空券代が少なく済んだため残額が発生したが,調査に必要な消耗品の購入ための経費として使用する予定である。
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