2018 Fiscal Year Research-status Report
Action research type mountains disaster prevention education in Nepal
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18K02524
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
榊原 保志 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (90273060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 雅一 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (20177827)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 開発教育 / 防災教育 / 地学教育 / 氷河湖決壊洪水 / 造山運動 / 土砂崩れ / ネパール |
Outline of Annual Research Achievements |
ネパールの理科および地理の教科書を分析し,災害や防災に関する記述を分析した. 記述があった教科書は以下の通りである.理科の教科書ではEkta INTEGRATE SCIENCE AND ENVIRONMENTのGrade4 5 6の3冊,地理の教科書ではReadmore Social Studies Grade 6 7 8 10の4冊である.自然災害およびそれを引き起こす現象で取り上げられていた内容は,地震,台風,地滑り,氷河湖決壊洪水が取り上げられていた. 学会発表として,第68回日本理科教育学会全国大会(於岩手大)において「ネパールにおける土石流災害に関する防災教育の授業の試み」を口頭発表した. 学術論文として,「榊原 保志 , 山下 さくら , 喜多 雅一,2018,ネパールにおける造山運動モデル実習の試み,理科教育学研究 59(1), 59-66」(査読論文)を発表した. 現地のネパール国における授業実践として,2019年3月1日から10日にかけて,ネパール国東部のマンタリ市Manthal中等学校,Gothpani村SHREE CHANDESHORI中等学校,デュリケル市SHREE CHANDESHORI 中等学校において,氷河湖決壊洪水に関する授業実践を行った.現地授業実践に先立ち,国内作業として,氷河湖決壊洪水に関する論文を収集し,また日本地理学会で氷河湖決壊洪水の専門家である岩田脩二(東京都立大学名誉教授)氏に聞き取り調査をおこなった.また,ネパール国ではJICAネパール事務所次長横田健太郎,教育担当三木俊伸に対して,災害や防災教育の聞き取り調査をおこなった.授業実践に際し,学校や生徒の現状についてマンタリのJOCV中村寛子隊員,デュリケルのJOCV鈴木このみ隊員に協力を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネパール国教科書において山間地で起こりうる災害の種類の分析を通してネパールで問題となっている自然災害や防災教育について明らかになった.特に山間地でヒマラヤ山脈を抱えるネパールでは氷河湖決壊洪水というネパール特有の災害が存在することがわかり,それについての素材研究・教材開発を行った.国内作業で氷河湖決壊洪水に関する資料収集,教材開発に取り組んだ.ネパール国における授業実践をするに当たり,ネパール国JOCV(青年海外協力隊の知り合いを通し,防災教育に関心のある隊員を紹介していただき,日程調整を行った.ネパール国の3つの中等学校で試行授業を行うことが出来た.また,土砂災害に関する授業実践の学会発表,地震を引き起こす造山運動に関する査読論文も発表した.ネパール国における自然災害や防災教育の現状を引き続き分析するため,現地理科教員から推薦された教科書を入手した.Modern Graded SCIENCE のGrade9 とGrade10は本年度和訳し研究に役立てるつもりである.課題としてはロールプレーニング教材については手つかずの状況であった.これについては早急に検討するつもりである.
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Strategy for Future Research Activity |
山間地で起こりうる災害の種類の分析を新たに入手したネパールの教科書をもとに実施する.本年度は氷河湖決壊洪水以外のテーマで教材開発を行い,授業実践を通して,ネパールにおける防災教育の推進に役立つ研究を進める.特にロールプレーニング教材を開発しネパール国JOCVの教育隊員と連携し,授業実践を行う.その際ネパール国JOCVの取り組みの現状を聞き取り調査をおこなう.国内作業としては授業プラン,副読本の作成,授業実践校の選定などを行う.可能ならば,地震災害の古文書資料,災害跡の見学も実施する.
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