2021 Fiscal Year Research-status Report
家庭科教員の自主的研修組織の実態解明と支援に関する研究ー家教連を対象として
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18K02525
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
井上 えり子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (90314567)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自主的研修組織 / 家庭科教員 / 京都府 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年に筆者と研究協力者(杉本佳子、仲野由美)が共同して行なった自主的研修組織を対象とした教員研修に関する調査をまとめ次の論文として発表した。 「京都府下の中学校高等学校等の家庭科教員を対象とした教員研修に関する調査―自主的研修組織を中心として―」(京都教育大学教職キャリア高度化センター教育実践研究紀要第4号、2022年1月、79ー88頁)。その概要は以下のとおりである。 2019年8月から10月に京都府内の中学校・高等学校・特別支援学校等310校に、教員研修会(官制・私的・自主的)への参加実態と家庭科教員の自主的研修組織であるAおよび筆者らが立ち上げた家庭科教員交流サイトに関するアンケート調査を実施した。回答者の約3割が過去3年間に研修会に参加していないことが判明した。研修会の不参加の背景には職務と子育てや家事で時間が取られ研修に参加する時間がないということがある。これに加え、自主的研修会では、勤務形態にかかわらず、「情報を得られない」、「存在を知らない」ということが不参加の重要な要因になっていた。この結果から、自主的研修会への参加を促すためには、情報を知らせるネットワークの構築が鍵となると考えられ、メーリングリストなどを作成して情報を流すなどの方策を講じる必要がある。 調査では、約6割がAの全国レベルの学習会に参加を希望していた。Aの地域サークルには7割を超える人が参加の希望を持っていた。加えて家庭科教員交流サイトに対する関心も高かったが、研修情報が届いておらず、職務や子育てや家事のため時間的に参加が難しい状況があり、HPの充実やWeb上での研修会の開催などの工夫が必要であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により調査が困難になったことや途中結果から研究の見直しが必要となる事態となり、当初の研究計画に大幅な変更が必要になった。計画した調査を継続しても予想されていた結果以上のものは見出せないことも判明し、研究手法を変更する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
聞き取り調査やアンケート調査が難しくなったことから、研究手法を歴史研究に変更することとした。当初の研究では自主的研修組織に対する現状の把握とそこから支援の方策を検討する予定であった。これらの点については、コロナ禍以前に行なった聞き取り調査や実態調査により現状を明らかにし、その情報から支援の方法を検討した。そこからHPの充実やWeb上での研修会の開催などの工夫が必要であることが判明した。しかし、コロナ禍で追加の聞き取り調査やアンケート調査は難しく、また行なってもすでに導き出された結果以上のものは得られないと考えられた。 このため、研究手法を変更し、自主的研究組織が活発に活動していた1970年代から1990年代初頭の京都府の高校男女共修家庭科運動に焦点をあてて、自主的研究組織における家庭科の教科理論を明らかにすることとした。自主的研究組織が活発に活動した背景に教科理論の構築という側面があった点に着目し分析することにより、今日の自主的研究組織の支援についても展望が開けると考えられる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で予定していた調査などを行うことができなかったため。本年度は研究手法を改め歴史研究を行う予定である。
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Research Products
(1 results)