2019 Fiscal Year Research-status Report
美術教育における映像メディア表現の扱いに関する理論構築と指導方法の開発
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18K02526
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
渡邉 美香 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (30549100)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 美術教育 / 映像メディア表現 / デジタルメディア教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、様々なメディアが普及浸透する今日の教育現場において、美術教育における映像メディアの扱いに関する理論と実技指導方法の構築を目的とするものである。日本及び諸外国でのメディア題材の授業実践事例の収集分析、指導方法の検討を重ねる。 本年度は、平成31年2月にニューヨークの学校視察を行った事例について、11月に連携協力者による追加取材を行い、それらを併せ研究雑誌に論文を投稿した。(『美術教育研究』第25号掲載予定、査読あり)また、6月及び8月に昨年度に引き続き「インドと日本の小中学校交流のためのプログラム」として、インドの美術教師と附属学校・大阪府公立学校の教師による文化交流授業を実施し、メディアによる交流を通した題材を検討した。3月にZoomによるインターネットビデオ交流美術科授業(附属中学校とインドシブナダ―学校)の実施を企画した。(コロナウィルスによる休講措置により中止となった。)本プログラムについては、2020年度『美術科研究』にて発表予定である。 諸外国でのメディア題材事例収集においては、9月にベトナム・ホーチミン師範大学の教師を目指す学生及び教員対象の研修において、映像メディア表現の題材「ストップモーション・アニメーションに挑戦!」を実施し、メディア教材への取り組みを観察した。同時にSTEAM教育について意見交流を行った。 日本におけるメディア題材事例の収集においては、第25回美術教育研究大会でSTEAM教育における美術の役割に関する実践事例を得た。また、10月~2月まで附属天王寺中学校2,3学年でIPadのアプリケーションを用いた題材(ストップモーション・アニメーション、自画像のトランジション、絵の中に入るクロマキー合成、色彩鑑賞、ことわざを表す色彩4コマ漫画)を研究協力者とともに実践し、授業参与観察、授業データの収集を行い、指導方法について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年間で、メディア題材の日本及び諸外国での授業事例を収集分析し、小学校中・高学年児童から中学校生徒を対象としたメディア表現題材の実技指導方法を開発する。1年目は、附属小学校5年及び中国の公立小学校6年児での映像メディア題材を実施し、子どもの身体、知覚・精神の発達に基づく感性や創造性を育む指導方法を検討した。2年目は、附属中学校第2学年、第3学年生徒を対象に映像メディア題材を複数実施し、iPadアプリケーションを用いた題材毎の子どもの反応や中学生ならではの工夫、造形的な見方の広がりについて指導方法と共に検討した。 諸外国の授業実践事例収集においては、イタリア、アメリカ(ニューヨーク)の教育現場における事例を収集するとともに、紙面で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度となる次年度においては、コロナの影響で海外での事例収集は困難となることが予想される。しかし、状況を見て海外とのオンライン授業を実施し、メディアを用いた美術科授業における子どもの表現や思考の変化を確認し、映像メディア教材の指導に関する理論構築を行う。 前年度に引き続き中学校生徒を対象に映像メディア表現題材を研究協力者とともに実践し、参与観察から、以下指導方法検討の2観点をもとに。造形経験、素材や道具の検討、子どもの成長発達に応じた指導方法を開発する。 1)誰もが映像メディア表現題材を基に自分を表現できるか(その人らしさ・感情が表れる媒体となっているか)特に制作過程に学習者の判断・気質(感性・身体性)を必要とする場面があるか。 2)映像メディア表現を通して、新たなものの見方の獲得が可能か、特に映像メディアがもたらす思考が現代社会を生きる力になるか。 コロナウィルスによる休講が続く中、オンライン授業で美術科の授業も実施されてきた。このような事態をふまえ、美術科オンライン授業でのメディア表現の取り組みについて題材収集も行う。
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Causes of Carryover |
令和2年3月に、インドのシブナダ―学校とのインターネットビデオ通話による美術授業を予定していたが、コロナウイルスによる休講に伴い中止となったためそれに関わる機材・通信費・謝金の使用ができなかった。次年度学校の再開を待ち、体制を変え、実施する予定である。
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