2021 Fiscal Year Research-status Report
中堅教師のイノベーション能力を高める課題解決型研修モデルの研究開発
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18K02528
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鮫島 京一 奈良女子大学, 教育システム研究開発センター, 特任准教授 (40784707)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中堅教師 / 課題解決型研修モデル / つなぐ力(イノベーション能力) / 語り / 教員研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績は以下の3点となる。 第一に、本研究開発の目的である課題解決型研修モデルの具体像を示した。これまでの3年間の研修モデルの研究開発の集大成として、11月20日に「協働探究ラウンドテーブル2021奈良 JALOODAとの対話」(参加者103名)を開催した。本研修モデルの特徴は、①教師と生徒がともに学び合うことを中心に据えていること、②研究協力者である中堅教師に企画から当日の運営まで一貫して関与してもらうこと、③日本航空株式会社の企業研修と教員研修を架橋するの3点にある。 第二に、本研究開発で得た知見に基づいて、中堅教師の現実に即した研修のあり方について、第31回日本公民教育学会全国研究大会のシンポジウムにて報告者として、また、第73回関西教育学会の公開シンポジウムにて指定討論者として、本研究開発の研究成果を踏まえて報告・提案した。 第三に、本研究開発で実施してきた研修における中堅教師の「つなぐ力(イノベーション能力)」(異質なものをつなぎあわせて、新しい意味や価値を創造する力)が磨き上げられていく過程を把握するための一次資料を得るために、中堅教師5名に実践記録を執筆してもらった。 なお、上記の第一のラウンドテーブルについては、奈良女子大学社会連携センター編『地域連携事例集2021-2022』において「教育 システム研究開発センター 教員研修事業」として発表した。また、新型コロナ・ウィルス感染症の拡大のため、上記の第三の分析について十分にすすめることができなかったため、来年度まで補助事業金を延長することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度に引き続き、新型コロナ・ウィルス感染症の拡大により、研究計画を修正せざるを得なかった。とくに研究課題の解明の鍵を握る協力者である中堅教師への半構造化インタビューについて大幅に見直すことになった。想定していた対面式でのインタビュー調査が難しくなったため、ICTを活用してはみたものの、分析の焦点としてすえた「つなぐ力」がくりあがる過程を解明するために必要となる第一次資料としては不十分さを拭い去ることができなかった。そこで、協力者である中堅教師に実践記録を執筆してみることを提案し、それに応じてくれた5名の執筆過程を支援することにした。そのため想定した以上の時間を要することになったが、研修効果を把握するための一次資料としての質を確保することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間延長を申請し、承認されたことを受けて、積み残した二つの課題に取り組む。 第一に、本研究で研究開発した研修プログラムが、協力者である中堅教師の実践的省察力をどのように高め、専門職コミュニティを形成する力へとつながっていくのかを解明する。そのために、協力者5名が執筆した実践記録を中心に据え、教師としてのライフストーリーの中に本研修モデルのもつ意味を読み込んでいく。第二に、上記の述べた第一に加えて、これまでの研究開発で得ている感触、すなわち「専門職コミュニティを形成する力」の形成が「実践的省察力」「つなぐ力」(異質なものをつなぎあわせて、新しい意味や価値を創造する力)の形成を促すという仮説を裏付ける事実を抽出し、理論化する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、実施予定であった半構造化インタビューができなかったため、調査に関する交通費などの予算が使用できなかった。この分の予算を翌年度に使用する。
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