2018 Fiscal Year Research-status Report
An Empirical Study on Children's Drawing Activity by S-HTP Method in Cambodia
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18K02554
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
鈴木 光男 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (00548092)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 美術教育 / カンボジア / S-HTP法 / 絵画 / 小学校 / 図画工作 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.調査協力校の選定 カンボジア教育省にて特定非営利活動法人 学校をつくる会Japan Team of Young Human Power(以下JHP)サポート校と非サポート校とでS-HTP法による描画調査を通して培われる表現力の差異などを分析・検討する本調査について説明し、承諾を得た後、スヴァイリエン州・カンポット州、そしてプノンペンのJHPサポート校2校と非サポート校3校が選定された(2018年9月)。ただし、幼稚園・保育所は十分な支援や描画活動の実態もないため、除外することとなった。また、シェムリアップにあるSmall Art School(以下SAS)と日本国内の公立小学校にも調査協力を要請し、それぞれの描画を比較することが承諾された。 2.第1回カンボジア現地調査 SASでは近隣の小学校訪問の時期に合わせての調査となったため、2018年12月に4年生のみを対象として調査した。カンボジアでは異年齢児童が4年生に在籍しており、調査対象とした2校ではそれぞれどちらも9歳から13歳までの幅があった。他の5校については、2019年2月から3月にかけて全学年を対象に調査しデータを収集することができた。 3.第1回国内調査 日本国内の公立小学校での調査は、カンボジア現地調査の直後2019年3月に実施した。各学年10名を目安とし、昼休みに調査協力に応じた希望者を対象に実施した。 4.調査結果の分析・整理 分析項目は(1)統合性(2)描画サイズ(3)課題以外の付加物(4)遠近感(5)現実的・非現実的描写の5項目であり、具体的にはその下位項目に基づく17の視点で分析した。また、家(立体)と人の描き方も発達段階に即して5段階評価をした。現在、その一次分析が終わったところで、各調査校の実態が概ね明らかになった。今後さらに詳細に分析していき、8月の日本美術教育学会にて研究発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度予定していたカンボジア現地調査と国内調査を終了し、相当数の描画データを収集することができた。そして、上記全17項目で分析し、描画の発達に即しての5段階評価をとおして、調査対象ごとの描画の実態を概ね明らかにすることができた。 一部、JHP非サポート校でも描画の学習をしていることが調査時に明らかになった。それもカンボジア国内でよく実践されている手本どおりに写すコピー画ではなく、風景画など生活を描く学習がなされていた。そのため、非サポート校ではあるが、児童の絵はサポート校と同程度の調査結果が出た点が想定とは異なっていた。カンボジア教育省の選定した調査校であるため、今後もそのことを踏まえて調査・分析を継続していくものである。
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Strategy for Future Research Activity |
第一次の分析を終えたところなので、8月の日本美術教育学会での研究発表に向けて各校の描画実態をさらに精密に比較し、学習実態と即して検討を重ねていく。今のところ、JHP非サポート校のうちスヴァイリエン州の1校とプノンペンの1校に下位となる項目が多く見られる。残りの非サポート校は描画学習をしているとのことなので、どのような学習がどの程度なされているかを2019年度中に確認する予定である。また、SASが描画指導に当たる2校の描画は日本の小学生に比して描画の発達においては及ばないものの描かれる内容の充実度は相当なものであった。そこで、この2校についてもどのような学習が展開されているのか、笠原代表の授業の実際を調査する予定である。また、カンボジアで新たに改訂される学習指導要領についても調査し、小学校の描画に関する指導内容を特に明らかにしていく。 そして、第2回目の調査は前回調査した学校で2019年12月に実施し、前回調査結果と比較して個々の児童や学年がどう変化しているのかも分析・整理する。
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Causes of Carryover |
おおよそ計画通りの執行であったが、パスポートの残日数の関係でカンボジアVISAを複数年ではなく単年度でしか申請できなかったため当初の見積もりより残金が生じた。 2019年度のカンボジアVISA申請料に充当する予定である。
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