2019 Fiscal Year Research-status Report
An Empirical Study on Children's Drawing Activity by S-HTP Method in Cambodia
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18K02554
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
鈴木 光男 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (00548092)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 美術教育 / カンボジア / S-HTP法 / 絵画 / 小学校 / 図画工作 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.第1回描画調査に関する研究結果発表 第68回日本美術教育学会(2019年8月18日)にて2018年度にカンボジアと日本の小学校(計8校)で実施した描画調査に関する研究結果を発表した。同じ内容を同年9月にカンボジア教育省・スモールアートスクール・JHPプノンペン事務所にて報告した。また、第1回描画調査時に定期的な描画学習指導がなされていたカンポット州の小学校を訪問し、学習状況について視察・聞き取り調査をした。 2.「比較文化研究139号」(日本比較文化学会)投稿 上記発表と同じ調査内容を学会誌に投稿し、査読の結果、掲載となった(2020年6月発刊予定)。 3.第2回描画調査 2019年12月に、第1回同様カンボジア・日本両国で描画の調査を実施した。 4.調査結果の分析・整理 今回は、第1回の分析の視点・内容に「エネルギー水準」「発達レベル」「内的豊かさ」、そして「総合的評価」を加え、より質的な描画のありようを評価し比較することにした。第1回と同じような傾向は見られたが、1枚ごと描画の内的・質的な分析・評価をしたことで、描画活動に対する主体的な態度や積極性の違いが際立つものとなった。このような調査はこれまでされてきていないことから、日本の美術教育の成果・有用性と同時に課題も浮き彫りとなった。 5.分析・整理結果の報告と2020年度報告会開催の打合せ 2020年2月にJHP東京事務所を訪ね、事務局長と理事に第1回・第2回調査結果の比較と、そこで見られた顕著な表れについて報告した。また、最終年度となる2020年度に開催予定の本調査・研究に関する国際研究集会について、時期と方法・内容について協議し、協力する旨の回答を得られた。今後、カンボジア教育省・スモールアートスクールとも連絡・協議しながら、最終年度の国際研究集会について決定をしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1回目と第2回目の調査を経て、それぞれの小学校の結果を比較するだけではなく、同じ子供たちが1学年進級したことでどの程度発達し、どのような描画内容の違いがあるかを調査した。その結果、第1回目と同様の各校の特徴が出るだけではなく、同じ子供たちの成長・発達の程度も明らかにすることができた。 その結果を踏まえて、JHPとスモールアートスクールの両者との最終年度の国際研究集会の時期や内容・方法についても概ね了解を得られたことは見通しを持って本研究を進めるに当たり、大きなことである。 最終となる第3回は2020年6月初旬に調査予定であり、全ての調査対象校に了解を得られている。しかし、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、現在はカンボジアも日本も小学校が休校となっている。学校再開時期が不明なため、今のところいつでも調査ができるようにはしているが、時期は不確定である。 学校が再開されても、研究者が渡航できないことも予想される。そのため、調査に関するコーディネートとアテンドを依頼しているICネット社に調査マニュアルどおりに調査を遂行できるように準備もしてある。小学校再開時には、教育省と各校と連絡を取り、許可が出た段階ですぐに調査に行けるような体制となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
「比較文化研究139号」(日本比較文化学会)が発行された段階で、掲載論文をクメール語で訳し、カンボジア教育省と各調査対象校に送り、ここまでの研究結果を共有する予定である。JHPとスモールアートスクール、ICネットには日本語の原文を送る予定である。 その上で、最終となる第3回調査を実施(当初6月予定。現在カンボジア国内の小学校は休校となっているので、その状況により7月以降になる可能性もある)し、その分析結果を第1回・第2回調査と比較・検討し、8月の日本美術教育学会にて発表する予定である。 その後、9月にカンボジア教育省など関係機関と打合せをして、10月に本調査・研究に関する国際研究集会を開催する。そこで、3年間にわたる調査・研究結果を報告すると共に、カンボジア教育省ナイサッチャー氏やスモールアートスクール代表 笠原氏と三者でカンボジアと日本の美術教育の成果と課題について研究協議する予定である。そこで、話し合われた内容を研究結果と合わせて報告書としてまとめ、日本とカンボジアの関係機関や学校などに配布するという計画である。
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