2018 Fiscal Year Research-status Report
家庭科における「家族」に関する学習の意義と課題:学習者の認識と教育内容の比較より
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18K02564
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
藤田 智子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (40610754)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 家庭科教育 / 家族 / 検定教科書 / 位置 / 役割 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、家庭科を学習している生徒たちの家族観及び家庭科で「家族」のことを学ぶ意味や意義をどのように感じているかを明らかにする。また、実際に家庭科教育で教えられている「家族」に関して、どのような文脈で記述されているか教科書を分析した上で、教える教師側の認識を明らかにする。つまり学習者のレベル(行為レベル)での「家族」に対する認識と、学校教育という構造レベルでの「家族」の扱いを比較することによって、「家族」に関する問題が増加する現代社会において、家庭科教育の中で「家族」を学ぶ意義がどこにあるのか、学習者にとって有効な学びとなるためには、今後どのようにあるべきかを明らかにする。 平成30年度は、まず現行の検定教科書の分析を行った。現在発行されている小学校全2冊、中学校全3冊、高等学校(家庭基礎)全6冊、計11冊を対象とした。分析にあたっては、教科書の全ての領域の記述を対象とした。「家族」に関する記述を抽出するために、キーワードとして、「家族、家庭、世帯」を中心に、「父、母、配偶者、親」といった家族内の位置関係を示す用語、職業労働や家事労働(家事・育児・介護)といった家族の役割に関わる用語を設定した。 その結果、以下の点が明らかになった。(1)「家族」に関する教科書1冊当たりの平均記述数は、小学校、中学校、高等学校の順に多くなった。(2)「家族・家庭」に関する領域以外での「家族」に関する記述は、すべての学校段階・教科書で見られ、領域間をつなぐものとしてや家庭科全体の学習目標として、「家族・家庭」生活が描かれていた。(3)小学校と中学校では、総記述数・記述内容ともに教科書会社ごとの大きな違いは見られなかった。高等学校では、総記述数は教科書会社間に大きな差があり、内容に関しても、教科書会社ごとの特色が大きくみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、年度内に教科書の記述の抽出及び分類を終え、分析に入ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書の計画通り、平成31年度は、高校生に対する質問紙調査を実施し、学習者である高校生の家族観、および家庭科での「家族」に関する学習への認識を明らかにする。調査は、男子校、女子校、共学校で行い、比較しながら分析を行う。また、研究成果は、適宜学会等での発表及び学術雑誌への論文投稿準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会の参加費用の振り込みの締め切りが、当初は平成30年度末に設定されていたが、応募の締め切りが延長されたことにより、採択通知、参加費用の振り込み期限が次年度に持ち越されたため、次年度使用額が生じた。平成31年度に国際学会参加にかかる費用を支払うために使用する。
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Research Products
(5 results)