2023 Fiscal Year Research-status Report
家庭科における「家族」に関する学習の意義と課題:学習者の認識と教育内容の比較より
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18K02564
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
藤田 智子 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (40610754)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 家庭科教育 / 家族 / 家事実践 / 性別役割分業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、学習者のレベル(行為レベル)での「家族」に対する認識と、学校教育という構造レベルでの「家族」の扱いを比較することによって、「家族」に関する問題が増加する現代社会において、家庭科教育の中で「家族」を学ぶ意義がどこにあるのか、学習者にとって有効な学びとなるためには、今後どのようにあるべきかを明らかにすることである。 今年度は、構造レベルでの「家族」の扱いを明らかにするため、家庭科を教える側である教員に対するインタビュー調査を行った。家庭科の授業を担当する中で、特に家族・家庭生活の領域の学習において、どのような授業を展開しているか、授業時に心がけていることなどを尋ねた。今年度は小学校と中学校教員を対象としておこなった。経験年数を5年未満、5~10年未満、10~20年未満、20年以上の4カテゴリーに分け、偏らないように対象者をみつけ依頼した。方法は1対1の半構造化インタビューとした。 小学校教員の調査データについて分析を進めているが、小学校教員では、性別役割分業等のジェンダーに関する問題について、積極的に取り上げているという語りはあまりみられなかった。子どもの生活に丸ごとかかわっているという意識があり、子どもが自分の家族の状況に疑問を持たないように配慮していることがうかがえた。また、児童の性別にかかわりなく、自分のことは自分でできるようになることを大事にしていた。子どもたちの家庭科への取組についても、男女で差を感じている教員はいなかった。各家庭の状況については、どの教員も配慮しており、プライバシーにかかわる内容を取り扱う場合は、班で共有したり全体で発表したりすることは避けていた。今後、さらに分析を進め、論文としてまとめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究期間の中断に伴い、予定していた調査を終えられなかった。研究期間を延長し、次年度は、今年度に実施予定であった中学校の家庭科教員に対する調査の未実施分、および高等学校の家庭科教員に対するインタビュー調査について実施する。研究成果は、適宜学会等での発表及び学術雑誌への論文投稿準備を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を延長し、2024年度は、2023年度に実施予定であった中学校及び高等学校の家庭科教員に対するインタビュー調査のうち、未実施の部分について実施する。研究成果は、適宜学会等での発表及び学術雑誌への論文投稿準備を進める予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の育児休業の取得により、研究に中断が生じたため、インタビュー調査にかかる費用(交通費・謝礼・文字起こし代など)が予定より少額であった。また参加を予定していた学会がオンラインでの実施であったり、休業により参加できなかったりしたため、学会参加費及び旅費が予定より少なく済んだため、次年度使用額が生じた。遅延が生じている中学高等学校教員へのインタビュー調査を実施するための費用とするほか、成果を発表するための、学会への参加および旅費などに使用する。
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