2020 Fiscal Year Research-status Report
大根等スライスディスクを用いた新しい浸透圧実験法の確立と教材化
Project/Area Number |
18K02566
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
藤井 豊 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (80211522)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教材 / 浸透 / アクアポリン / 阻害 / 金属イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
【金属イオンによる阻害作用と経時変化】これまで、アクアポリンの同定に使われる水銀イオンは、唯一アクアポリンに対する有効な阻害剤でもあったが、新たに銀イオンに水銀イオンより強い阻害が認められたことは、本研究の重要な発見の1つである。今回、両者の阻害作用を比較するため、経時変化を解析した。ダイコンスライスを2mM水銀イオン水溶液に浸して実験すると、浸透圧差による吸水が阻害されて重量増加率が低下する。この傾向は、経時的に頭打ちになる傾向があった。しかし、2mM銀イオン水溶液に浸して実験すると、初めは浸透圧差による吸水が阻害されて重量増加率が抑えられるが、さらに時間が経過するとダイコンスライスの重量が逆に減少してついには元の重量よりどんどん軽くなる現象を観察した。植物細胞が吸水して細胞内体積が上がると、細胞壁にかかる張力も大きくなるためいずれ吸水が止まって頭打ち現象が見られる。しかし、この現象は単に吸水が止まるあるいはアクアポリンが阻害されたという作用だけでは説明できない大変興味深い現象が観察された。銀イオンは、光と有機物があると還元されて銀が析出して黒化することが知られている。確かに、実験室で蛍光灯を点灯しながら長く浸しておくと、ダイコンスライスは茶褐色に変色する現象も観察される。これによる影響かもしれないが、キュウリスライスを用いた実験では、水銀イオンでも銀イオンと同じ現象が観察されていることから、アクアポリンの外から内への水の移動が選択的に阻害されていると考えるとこの現象がうまく説明できるのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍のため、各種イベント開催や国内学会への参加にも支障が発生しており研究成果の発表の機会が無い。また、海外への渡航規制が掛かったため、海外での学会発表もできない状況のため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度もコロナ禍の影響があるため、イベントや学会発表に大きな支障が出るものと危惧される。状況を見極めながら対応していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、研究成果の海外発表等に支障が生じたため。
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