2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K02570
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
田中 生雅 愛知教育大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10262776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 優司 愛知教育大学, 学内共同利用施設等, 教授 (70377654)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大学生 / メンタルヘルス / 自殺相談対応研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き二つの調査を実施した。 調査1:大学生の自殺相談対応に関する研修状況と今後の課題について明らかにすることを目的に、令和3年度に研究代表者が学内で担当した3講座内にて、1時限ずつを用い自殺相談対応研修を実施し、終了時に受講した学生にアンケート調査を実施した。教材は、全国大学メンタルヘルス学会HPの「あなたが守るいのちのともしび」テキストを使用した。令和3年度は、新型コロナウイルス感染症感染拡大のため、2つのオンデマンド授業、1つの対面授業として実施した。 調査2:学生のメンタルヘルス状況や健康状況と自殺相談の関連を見るため、健康診断時アンケート調査を令和3年度学生定期健康診断時に実施したが、その集計解析を本年度に行った。そのうち学生定期健康診断時アンケート調査にて、2019(令和元)年から3年間参加した学生群(259名)の状況から、新型コロナウイルス感染症蔓延環境の影響という視点から、大学生のメンタルヘルス環境の変化を検討し、第43回全国大学メンタルヘルス学会総会(オンライン開催)で発表した。 結果では、全体のK6(Kessler 6)調査の平均値は2019-2021年度(令和元年-令和3年)調査にて上昇傾向を認めた。2021年度(令和3年)調査で女性群の得点が有意に高かった。現在・過去の治療歴に関する質問では、2021年度の調査で医療機関への受診率が男性群で有意に減少していた。「死にたい」等の特別な悩みについての身近な相談環境については、2020年(令和2年)度の調査で性別の検討で有意差が見られた。本調査から、3年間に大学生のメンタルヘルスの状況は悪化傾向にあり、男性群では医療機関への受診が減少傾向にあること、女性群では身近な相談環境に変化があり深刻な悩みを相談しづらい環境が窺われること、性別により状況は異なることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年3月に行った健康診断時アンケートは、集計作業が遅延し、本年度に行った。 また、授業での自殺相談対応研修も本年度も新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響をうけ、授業形態の変更があり、対面授業とオンデマンド授業となった。このため、本研究調査の範囲内で今年度は授業形態の変化による影響について検討する必要があり、授業内でのアンケート(研究1)を実施した。 健康診断時調査(平成31年度-令和3年度健康診断)の研究検討の内容の一部を学会発表した。本研究は研究論文として投稿中である。 当初予定していた自殺相談対応研修と学生のメンタルヘルス環境の比較検討や結果の発表は、今年度内に終了できなかった。令和4年度のスケジュールで実施することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、令和3年度までに実施した「自殺相談対応研修」授業アンケートと健康診断時アンケートの集計データ検討を行う。研究のまとめの年として、「自殺相談対応研修」実施と健康や相談環境への関連が見られるかの検討を行い、申請者が本年度内に成果を学会発表および論文発表として行う。発表の機会は海外の学会も計画しているが、感染症の拡大状況に影響を受けるため、考慮しつつ実践する。
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Causes of Carryover |
(1)健康診断時アンケート調査について、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響による集計、解析の遅延が生じた。このため、研究結果の検討に時間を要し、発表や論文作成にいたることができなかった状況がある。 (2)調査結果の検討が遅延している影響で、物品の購入も令和4年度研究にて行うこととなった。また、論文作成のため、次年度予算を英文校正等の費用に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)