2019 Fiscal Year Research-status Report
水難時の対処方法が安全確保の可能性に及ぼす影響とその啓発方法に関する研究
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18K02579
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
松井 敦典 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (40190384)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 安全水泳 / 水難 / 安全確保 / 着衣泳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、水難事象を想定した際の典型的な対処法を設定し、それぞれの方法がリスクの発現や人体に及ぼす負荷量等を明らかにすることにより、エビデンスに裏付けられた水難時の明確な対処法の立案を目指すものである。測定機器の選定機種および数量の変更に伴い,実験デザインを再考して臨んだが,機器を制御するパソコンの整備及びセットアップに時間を要しため,当初計画していた本実験の実施が叶わなかった。本研究の対象である着衣泳及びそれを包含する安全水泳の内容に関しての知見を広げるため,類似の研究課題を持つ仲間と連携を取り、協力体制を構築し,以下の2件を実施した。 1.昨年度に引き続き「学校水泳研究会」(第19回,令和元年6月1日)を開催し、そこでの発表やディスカッションを通して本研究の実施と成果の確保に繋げていく目処がたった。特に本研究の内容は令和2年度から小学校にて完全実施となる,新しい学習指導要領に新規導入された「安全を確保するための運動」を対象とするものであり,それに対応した授業作りに貢献するものである。 2.WCDP2019(WORLD CONFERENCE ON DROWNING PREVENTION 2019, DURBAN, SOUTH AFRICA)に参加し,世界の溺水防止プロモーションの場で安全水泳の内容と方法に関する情報を収集した。この学会は本研究の主題と大きく関係しており,外国で行われている安全水泳教育の標準を把握することにより,本研究を実施する上での方向付や意味付けに大きく関係している。ニュージーランド,ノルウェー,オーストラリア,カナダ,フランスなどの同志と2012年から行っている"Can You Swim? Project"の継続もこの学会で決まり,各国の溺水防止スタンダードを策定する方向で活動することになった。本研究はその日本版策定に貢献するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予算縮小に伴い変更した筋電測定センサー,心拍センサー,加速度センサーについて,それらを用いて測定するためのパソコン及び周辺機器の整備及びセットアップに時間を要し,屋外水泳シーズン期間中に当初計画していた実験を実施することができなかった。筋電測定については屋内の軽運動にて予備実験を実施し,最終年度の実施に向けて準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年5月現在,世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)蔓延に伴い,安全に水泳の実験を行うための方法について慎重に検討する必要がある。当初計画した本実験は,泳げば助かると判断できる上限距離100mを想定し、その際の泳速度及び泳軌跡、心拍数を測定することである。また同様に、20分程度の[ウイテマテ]を実施した際の軌跡、心拍数を測定し、それぞれの手段における身体への負荷量の程度を評価することである。さらに、自然環境下でのリスクにおける対処方について検討し、特に安定して浮いて待つための浮力の条件について明らかにしていく。ここで,新型コロナウィルスの感染防止に最大限の配慮をするため,験者および被験者の2週間の行動履歴や健康状態を把握し,プールや付属施設,実験装置・器具等の消毒等防疫措置,身体の直接・間接的接触等感染の可能性の軽減を図る中で,安全に目的を達成できるような方策を講じる。 課題の実施状況と測定された身体負荷の程度に基づき、泳いでセルフレスキューする場合と、浮いて助けを待つ場合のクライテリアを明らかにして提示する。
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Causes of Carryover |
年度末に発注した物品の納入価が予想よりも安価であったため,使用残となった。次年度は最終年度であり,予定より遅れている研究をすすめるため,この残額を次年度に送り,コロナウィルス感染症対策等で生じる消毒措置等に必要な消耗品等の購入に充てて有効活用することにより,研究の完成度を高めたい。
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