2018 Fiscal Year Research-status Report
学級活動の中の「比べ合う」話合いの研究――文字を使って話し考える手法の追究
Project/Area Number |
18K02587
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
添田 晴雄 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (30244627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 和孝 玉川大学, TAPセンター, 准教授 (40365870)
秋山 麗子 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 教授 (50826857)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学級活動 / 学級会 / 話合い / 可視化 / 黒板 / ノート |
Outline of Annual Research Achievements |
原案方式、A or B方式、(仮称)オーソドックス方式(『楽しく豊かな学級・学校生活をつくる特別活動(小学校編)』(国立教育政策研究所、2014年)をモデルとしていると思われる方式、大阪市で実践されてきた方式等の実践者に研究会に参加していただき、それらの特徴について情報提供をしてただいた。そして、これらの特徴ある話合い活動の中で、「出し合う」「比べ合う」「まとめる(決める)」がどのように扱われているかを検討した。その結果、研究対象の中心となる45分間の話合い活動を分析するためには、「事前指導と教師の指導観」、「学級会の流れと構成要素」、「思考ツールの活用と板書」という、3つの観点が不可欠であることが明らかとなった。 そこで、これらの観点別にワーキンググループを設置した。「事前指導と教師の指導観」では、「学級会に至るまでの計画委員会の指導や、それに伴う教師の指導観が異なるのではないか」という視点から、主に、学級会から準備、実践、振り返りに至るまでの一連の過程を総体的に分析することにした。また、「学級会の流れと構成要素」では、「様々な学級会の形式を考えると、三段階討議法以外の流れも考えられるのではないか」という視点から分析を行い、また、同じ「出し合う」でも何を「出し合う」話合い活動なのか、「比べる」は何を比べる話合い活動なのかを分析することによって、学級会の流れの構成要素を詳細に分析していくことにした。そして、「思考ツールの活用と板書」では「学級会の中でも用いることができる思考ツール、または学級会の中で用いることによって、他の教科、領域でも用いることができるような思考ツールがあるのではないか」という視点から分析を行うことにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4月15日(日)、6月10日(日)、8月2日(木)、10月27日(土)、1月27日(日)の5回の研究会を開催した。「研究倫理申合せ」を作成し、関係研究者全員から「研究倫理誓約書」を提出してもらった。大阪市、横浜市、東京都の計6小学校において訪問調査を行った。うち、3つの実践についてビデオ集録を行い、うち、2授業について文字起こしを行い、うち1授業について授業分析を行った。 当初は、2つの類型の話合いの実践1クラスずつをビデオ録画して分析を行う予定であったが、研究対象の中心となる45分間の話合い活動を分析するためには、「事前指導と教師の指導観」、「学級会の流れと構成要素」、「思考ツールの活用と板書」という、3つの観点が不可欠であることが明らかとなった。そこで、遠回りのようであるが、まずは、1つの授業に限定し、この3つの観点から分析を試行してみることが全体計画の効率上不可欠であると判断した。なお、2019年度はその分析結果の妥当性を検討した上で、妥当と判断された段階で、他の授業の分析に展開させる予定である。 また、「研究倫理申合せ」を作成過程において、想定される協力校関係者と連絡をとり、この作業をていねいに行ったために時間がかかった。その結果、授業のビデオ収録の予定が相対的に先送りになった。しかし、「研究倫理申合せ」と「研究倫理誓約書」の仕組みは、今後の研究推進の基盤となるはずであり、この段階の遅延はむしろ必要であったと認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
複数の類型による学級会の話合い活動の授業を、教室の前方・後方の2カメラでビデオ録画し、それを「事前指導と教師の指導観」「学級会の流れと構成要素」「思考ツールの活用と板書」の3つ視点から分析する。とくに「比べ合う」の段階で具体的にどのような種類の話合いが行われているかを分析し、その局面において、音声による話合い活動が、児童のノート、ワークシート、黒板、短冊、ハンドサインなどによってどのように促進されているかを分析する。 2019年9月に行われる日本特別活動学会第28回大会において「課題研究」の分科会を本研究会で主催し、2018年度にビデオ授業分析を行った授業の考察結果の発表を行う。また、2020年2月に日本特別活動学会2019年度第2回研究会を玉川大学で開催し、2019年度の分析結果を踏まえ、全国の会員に向けてシンポジウムを行う。
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Causes of Carryover |
録画した授業分析を文字化する作業の一部を次年度に延期したことなどにより、経費の一部を2019年に支出することになった。幸い基金の制度が利用できたので、2019年に遅らせての支出が可能となった。研究分担者のうち1名による支出がなかったが、5回開催した研究会のうち4回はその分担者の所属機関施設で行っており、2018年度の研究活動の実態はある。むしろ、会議費等を他の資金で補填していただくなど、本研究の経費の節約に協力していただいている。2019年度に、延期分の経費を支出する予定である。
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Research Products
(4 results)