2018 Fiscal Year Research-status Report
主権者教育によって児童の女性観はどう変化するか:潜在意識測定による地域ごとの検証
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18K02593
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Research Institution | Matsumoto University |
Principal Investigator |
秋田 真 松本大学, 教育学部, 准教授 (70805887)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 主権者教育 / IATテスト / 女性観 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である今年は,女性議員比率の格差を扱う主権者教育を青森県の小学6年生対象に実施した。児童の女性観の抽出方法については,授業実施前後にIATテスト(Implicit Association Test)を用いた。 児童へのIATテストは,以下に示す1~4の手順で行った。1.PC画面上に様々な「女性」の名前と「男性」の名前をランダムに1枚ずつ提示する。2.被験者にできるだけ速く「女性か男性か」の分類をさせる。3.パソコンの画面中央に「成功」「幸福」などの良い概念の単語か「失敗」「不幸」など悪い概念の単語かを提示し,被験者である児童にできるだけ速く「良い意味の単語か悪い意味の単語か」の分類をさせる(=整合課題)。4.先の2つの課題について「女性」と「良い」が同じキーで,「男性」と「悪い」が同じキーとなる場合と,逆の組合せ(「男性」と「良い」が同じキーで,「女性」と「悪い」が同じキー)になるものの2種類を用意して実施する(=非整合課題)。 以上,整合課題と非整合課題での反応時間の差が潜在意識(=本心かどうかを計る)の指標となることから,女性観の抽出を行った。その結果,小学6年生の男子児童は、授業前は「女性」に対する潜在的態度はほぼ中立的であったが,授業後には大きく肯定的に変化していることがわかった。女子児童は授業前から「女性」に対して潜在的に肯定的な態度を持っていて,その潜在的態度が授業後にはさらに肯定度が高まったことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,青森県の児童に対してIATテストを実施した。さらに,次年度以降に行う予定であった集団式潜在連想テスト(FUMIEテスト)については,一部の地域において,前倒しで実施することができた。 また,当初想定していた授業時間前後の検査については,対象が児童であったため丁寧な説明が求められたことから,予想以上の時間が必要であった。加えて,PC及び検査用ソフト数に限りがあるため,同様に予想以上の時間が必要であった。今後は,小学校における検査時間の確保を十分に行うこととしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究取組については,対象地域(東京都及び香川県)の小学校の協力を得て主権者教育を行い,児童の女性への潜在的態度について検証を行う。その際,PCやソフト等の機器が必要なIATテストと共に,簡略化した「FUMIEテスト」を実施する。 「FUMIEテスト」はテスト用紙(A3サイズ)形式にし,各行ごとに制限時間で処理させるテストである。このテストでは作業量の差が指標となる。IATテストと比較し精度が落ちるものの「FUMIEテスト」は集団で一斉に実施することができ,実施時間も5分間程度であり,小学校高学年でも容易に取り組むことができる。これらのテストを通して,地域と児童の意識間に相関関係を見出していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,PCや機器等の値下がり及び作業軽減化による人件費の抑制である。同使用計画は,検査用機器及びソフトウエアの購入に充て,検査時間の短縮を図る。
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