2019 Fiscal Year Research-status Report
地質学的時間概念と空間概念の認識実態調査及び概念獲得方策の提案
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18K02595
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
平田 豊誠 佛教大学, 教育学部, 准教授 (90733270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多賀 優 龍谷大学, 農学部, 教授 (00755671)
吉川 武憲 近畿大学, 教職教育部, 准教授 (00757255)
小川 博士 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (90755753)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 深成岩 / 地質学的時間概念 / マグマの冷却固結期間 / 地質学的空間概念 / 花崗岩 / 深成岩の生成深度 |
Outline of Annual Research Achievements |
地学の重要な概念として,時間概念と空間概念が挙げられている。本研究では学習者の持つ地質学的時間概念・空間概念,教師の持つ地質学時間概念・空間概念それぞれについて認識状況を明らかにし,概念獲得のための改善方法を提案することを目的とする。そのために次の5点の研究を進めていくこととする。①地質学的時間概念として,深成岩の冷却固結期間の認識状況についての調査を質問紙調査により行う。②地質学的空間概念として,深成岩のできる所(マグマだまりの深さ)の認識状況についての調査を質問紙調査により行う。③文部科学省検定済みの理科教科書(中学校5社,高等学校:地学基礎5社,地学2社)の記述内容を分析するとともに,当該教科書に付随する各社発行の指導書の記述内容を分析し,深成岩の冷却固結期間やマグマだまりの深さの具体的記載の内容を明らかにする。④深成岩における正しい地質学的時間概念・空間概念を獲得するための具体的提案を行う。⑤深成岩の研究を転用し,地層のでき方,大地の変動等の地質学的時間概念・空間概念の正しい認識のための方策を検討する。 令和2年度では特に,②の地質学的空間概念についての認識を,深成岩のできる所(マグマだまりの深さ)を例に調査を進めた。教科書等での「マグマが地下深くでゆっくり冷えて固まる」という記述に対して,「地下深く」とはどれくらいの深さに相当するのかを,小学校教員41名,中学校理科教員155名を対象に認識調査を行った。その結果,深成岩のできる深さについて,妥当な回答を行った小学校教員は24。4%,中学校理科教員は42。6%だった。中学校理科教員と小学校教員間での比較検討を行った結果,妥当な回答について有意差が見られたとの知見を地学教育学会全国大会にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の研究計画において目指していた,②の「深成岩のできる所(マグマだまりの深さ)の認識状況についての分析,報告を行う。」については,深成岩のできる所(マグマだまりの深さ)についての認識調査を終え,日本地学教育学会全国大会において発表・報告することができた。また,①の深成岩の冷却固結期間,③の理科教科書の記述内容分析の研究成果をとりまとめ学会誌へ投稿した。 ③「文部科学省検定済みの理科教科書(中学校5社,高等学校:地学基礎5社,地学2社)の記述内容を分析するとともに,当該教科書に付随する各社発行の指導書の記述内容を分析し,深成岩の冷却固結期間やマグマだまりの深さの具体的記載の内容を明らかにする。」についても,ほぼ資料をそろえることができており,内容検討も終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度に得られた結果(③文部科学省検定済みの理科教科書(中学校5社,高等学校:地学基礎5社,地学2社)および指導書の記述内容を分析し,マグマだまりの深さの具体的記載の調査結果,②の深成岩のできる所(マグマだまりの深さ)の認識状況の調査結果)をもとに論文執筆・投稿を行う。また,①の深成岩の冷却固結期間,②の深成岩のできる所,③の理科教科書の記述内容分析と総合して,④「深成岩における正しい地質学的時間概念・空間概念を獲得するための具体的提案」を考案し実践・検証していくこととする。
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Causes of Carryover |
論文の出版にかかる経費等の支出がなかったためである。現在研究成果を投稿中であり今後必要となってくる。次に,謝金使用が控えられた。これは研究代表者によりデータ入力等を行うことができたためである。 令和2年度以降は,論文掲載にともない掲載料および抜き刷り費用として使用していく。併せて,学習指導要領改訂に伴った新たな検定教科書とその指導書等の購入費として使用していく。
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Research Products
(2 results)