2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of dietary education programs connected with enhancement of expressive language skills
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18K02609
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
大森 玲子 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 教授 (70447259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山野 有紀 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (10725279)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 食育 / 食教育 / 味覚教育 / 表現 / 言語活動 / 五感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フランスで展開されたピュイゼ理論を活用して、言語表現力育成と連動した食育プログラムの開発を行い、食の場面における感覚語彙の蓄積と表現を通して言語能力の育成に寄与するか検討を進めるものである。 全体計画のうち、一年目の本年度は、既存文献・研究、各省庁資料等のレビューを通して、我が国をはじめ諸外国の言語表現力育成に関連する学習内容を調査し、子どもの発達段階を踏まえた言語習得プロセスについて整理した。また、国内外における食育先進地の取り組み、特にフランスにおける健康教育(味覚教育)について、現地にてヒアリング調査を実施し、食への意識変容や行動変容に繋がった食育活動の内容精査、言語表現力育成と連動した活動や取り組みの現状と課題について調査した。 既存研究や先進地における実践事例等の調査から、「フランスで展開されたジャック・ピュイゼ氏による味覚教育は、五感を通して味わったことを自らの経験に基づき判断し、その時点で獲得している言語により表現するものである。そのためには感性を刺激するような多くの生活体験を積み重ねる必要がある。」こと等が確認された。 これらの基礎資料を基に、言語学の専門家である分担者および学校で食育を推進する栄養教諭・学校栄養職員等とともに分析を行い、言語表現力育成と連動した食育プログラムの枠組みを構築し試行した。単回実施の効果を検証した結果、子ども達への学習動機づけとしての効果がみられること、学習内容の定着が期待されること等が確認された。プログラムの評価方法について課題がみられたため、次年度以降、プログラムの開発に加え、評価の在り方についても検討を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた食育先進地における現地調査を速やかに実施することができ、また、その調査に基づいたプログラム内容の概要について取りまとめ、整理することができた。プログラム試行版を一部実施したことにより、課題の抽出を進めることができたため、計画よりも進んでいる状況である。しかしながら、言語表現力育成に関わる学習内容調査および発達段階における言語習得プロセス調査において、当初の計画よりも収集した資料の分析と整理が十分にできていないため、上記の自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、(1)平成30年度実施した「学習内容調査」と「現地調査」の分析を踏まえ、食に関わる感覚語彙の蓄積と表現を踏まえたプログラム(国語科及び英語科の「言語表現力」育成に連動した食に関する教材や実習など)を開発し、試行する。(2)プログラム評価に際し、①食育プログラム分析、②実践者インタビュー・質問紙調査、③児童生徒への質問紙調査を行い、開発したプログラムの有効性と課題について明らかにする。 現在計画している(1)(2)について、初年度に、開発中のプログラム内容の一部を試行できたことにより、プログラムの評価方法についての課題を見い出せたため、今後、プログラムの開発に加え、評価の在り方についても検討を進める予定である。 フランスの味覚教育プログラムを参考にしていることから、研究協力者として、日本とフランスの学校教育制度に精通した上原秀一氏に協力を依頼し、日本における実践活動の評価の在り方について意見を集約することとする。
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Causes of Carryover |
言語表現力育成に関わる学習内容調査および発達段階における言語習得プロセス調査において、当初の計画よりも収集した資料を十分に整理できていないことから、整理分析ツールや消耗品における次年度使用額が生じた。
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