2018 Fiscal Year Research-status Report
A Survey Research on Children's Political Literacy for promoting Sovereign Education
Project/Area Number |
18K02615
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松本 康 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (60229581)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 主権者教育 / 政治的リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の問いは以下の4点である。① 子どもの政治的リテラシーはどのような構造で,どのように測定・評価できるのか?② 学校教育における教科カリキュラムと特別活動は政治的リテラシーをどのように変化させるのか?③学校教育以外に政治的リテラシーに影響する要因は何か?④ 政治的リテラシーと他のリテラシーはどのような関係にあるのか?これらを主に質問紙調査法によって実証的に解明することが本研究の目的である。 1年目(H30年度)は質問紙調査に使う調査項目を確定するために,主に①の問題に関して先行研究をもとに検討した。政治的リテラシーを,「政治に関する,①知識,②見方・考え方,③技能(スキル),④価値,⑤態度,⑥思考・判断,⑦意思決定,⑧社会参加」などの要素を含むものと考えた時,それらはどのような構造を持ち,どのように測定・評価できるのか,という問題である。 イギリスの政治学者バーナード・クリック(2000年)は政治的リテラシーの構造を大きく「知識」「技能」「態度」の3つのカテゴリーに分け,「政治的リテラシーの樹形図」モデルとして7つの要素を提示した。B.クリックの示す「政治的リテラシーの構造」は政治的争点についての意思決定プロセスを示すものであり,「政治的リテラシーの樹形図」は知識・態度・技能についてのカテゴリー別のプロセスを示す。 学習指導要領(2017年)に先立つ中教審答申(2016年)は「主権者として必要な資質・能力」を「知識」「多面的・多角的に考察する力」「公正に判断する力」「合意を形成する力」「社会参画力」の5つの要素で構成されている。この枠組みはB.クリックの議論とは整合的であるが,「知識」がやや広めに表現されている。これらの要素を具体化して評価項目を検討し,さらに政治意識に関する世論調査項目を参照して,本研究の目的に沿った諸項目を加えて枠組みを再構成し,調査票の項目検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1年目(H30年)に関しては,先行研究(文献)の検討による政治的リテラシ-の枠組み作りと調査票の項目設定が課題であった。枠組みの設定と調査票の構成は大枠でできあがったが,まだ世論調査の調査項目の検討作業が2年目の課題として残されており,概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年目(R1年)に関しては次の①~④のプロセスで質問紙調査を予定している。①調査票項目の決定,②予備調査,③本調査(小学生,中学生,高校生,大学生),④結果の分析作業。調査は9月~10月に予定しているが,調査対象との関係で,調査時期には若干のずれが予想される。データのインプット,第一次解析作業も含めて,年度内にはおおむね終了できるように予定している。
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