2020 Fiscal Year Research-status Report
イギリス現職教育にみる文学の省察的読みの力を育む対話型小中連繋学習指導プログラム
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18K02620
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
松山 雅子 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (50173927)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イギリス国語科現職教育 / 文学の対話型学習指導 / UKLA / CLPE / 教師の説明言語 / EMC |
Outline of Annual Research Achievements |
科研研究課題に基づき前年度までの研究を継承し、イギリス国語科現職教育における初等から中等への連携を明らかにする試みを続けた。特に、21世紀の言語環境に根差した国語科の学習指導を支える教師の説明言語に焦点を当て、形成評価の観点から小中連携の教師教育の基本的動向を探った。 (1)口頭発表 「イギリス初等国語科教育における意味生成過程再考のこころみ 2―UKLA調査研究プロジェクトの試行から」大阪国語教育研究会(リモート発表、2020年12月13日) (2)論文発表 「学習者の学びを跡づける教師の説明言語-2000年代イギリス初等現職教育の調査研究プロジェクトの試み」『国語と教育』46号、pp.30-42(大阪教育大学国語教育学会編、2021年3月24日) (3)コロナ禍でイギリス中等国語科現職教育センター長他との面談、中学校教師へのアンケート調査を断念し、当該者と連絡を取り、以下の学会と現職研修にリモート参加し、withコロナの現職教育に触れ、身近な地域の現職教育や教員養成に取り組む参考とした。①NATE学会参加 (Zoom参加、2020年11月14日)The National Association for the Teaching of English―Creative Literacies and the 21st century learner: Empowering English teachers to prepare young people for life and learning 、講演・ワークショップ参加。/②English & Media Centre主催現職研修 Remote Learning and English Teaching: Principles and Practices(Zoom参加、2021年1月18日月曜日)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で予定していたイギリスでの面談調査、アンケート調査は断念せざるを得ない状況となり、かつ公務におけるオンライン授業等対応で限られた範囲の継続研究を余儀なくされた。コロナ状況を見ながら、面談予定者等と連絡をとり、NATE学会、EMC現職研修にリモートで参加し、予想外の事態における国語科現職教育の一端に触れえたことは、申請者の身近な地域の現職教育や教員養成にどのように還元しえるかを模索するための参考ともなった。
また、イギリスが我が国の学習指導要領にあたるナショナル・カリキュラム導入後、10年余を取り上げ、言語環境の激変と国語科教育のありかたを問うた2000年代の教師教育を、マルチモーダルテクストと評価の観点から、複数のUKLAリサーチおよび成果をまとめた書籍の考察を試みた。研究課題を教師による形成評価の観点からとらえ直すことは、CLPE(小学校リテラシーセンター)EMC(中等国語科教育センター)の主要現職教育センターの文学の学習指導プログラムを考究するための基礎的研究となった。リモートではあったが口頭発表し、また、研究誌に論文投稿できたことはありがたいことであった。
加えて、身近な地域の学校現場から、学習者の内的対話を促す意味で、書くことの楽しさを経験させる可能性について助言を求められることがあり、継続研究を、書くことの側面から捉え直すことで、当初最終年に構想していた、比較研究に基づくわが国の小中高の国語科現職教育に対する具体的提案の可能性を探り始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ありがたいことに、科研研究を1年延長いただいた。当初の予定とは異なるが、文献調査を軸に、手がけていた散文教材を軸にした文学の省察的読みの力を育む対話型小中連繋学習指導プログラムの探求を進め、口頭発表ならびに論文投稿ができるよう努めたい。
また、コロナ禍で、国語科教員のニーズを耳にすることの多い書くことにかかわる実践的・理論的支援をめざした試みを、当初計画されていたパイロット実践等はできる状況にはないが、可能な方策を探り、本比較国語教育研究からのささやかな発展的提案を行えればと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、2020年3月に予定されていたイギリスでの調査研究(English &Media Centre( 中等国語科教育センター)センター長、主任スタッフとの面談調査およびEMC主催現職研修参加と参加者へのアンケート調査、中等学校文学の授業参観等)がすべてキャンセルせざるを得なくなったこと、ならびに、この調査を踏まえた継続調査出張(2020年9月予定)も断念したことから、使用額に変更が生じてしまったためです。
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Research Products
(2 results)