2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K02624
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
難波 博孝 広島大学, 教育学研究科, 教授 (30244536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 之典 福岡教育大学, 大学院教育学研究科, 教授 (00707945)
宮本 浩治 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (30583207)
吉川 芳則 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70432581)
幸坂 健太郎 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (20735253)
篠崎 祐介 玉川大学, 文学部, 助教 (60759992)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 論理の教育 / 論理の発達 / 論理の表現 / 論理の評価 / 日常言語と論理 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は研究の目的のうち、① 学習者の記述におけるレトリックが教師の評価に与える影響を統計的に明らかにする。を中心に行った。その結果、記述回答を評価した国語教育説明文領域専門の大学教員にかなり高い一致度が見られた。このことは、特定の記述回答の表現が教師の評価に共通的に影響を与えることを示唆している。 また研究の目的の② レトリックと論理的認識力との関連を明らかにする。という点については、どのような記述回答の表現(レトリック)が教師の評価に影響を与えているかについての具体的なつきとめはできなかった。しかし、大学教員の評価が高いとされた記述回答には以下のような特徴が見られた。(1)読者である自分の思考を表明している (2)読者である自分の感情を表明している (3)読者である自分の思考をメタ的に説明しようとしている (4)世界について具体的な認識を示そうとしている (5)筆者のもつ読者認識を表現しようとしているといった傾向が見られた。 このことは、Kegan(1996)が提唱する成人発達理論に見られる、「主体客体の均衡ー不均衡ー再均衡」と言う構造発達理論に符合していると考えられる。ここでは、主体が客体を取り込み、主体の内部に客体が位置づく(主体内客体の生成)によって主体の再均衡が起きると言う現象が、記述回答の中で、読者が筆者を取り込む段階、筆者の中の読者意識を読者が取り込むというより複雑な段階というカタチでの進行を示唆していると考えられるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中学校教員のインタビューから見えた「説明文教材の文章の読者にする」といった思いや大学教員の記述問題の回答分析における一致度の高さなど意義ある研究結果が見えたが、論理の発達のための中二階の理論が作成できなかった点で、100%の達成とは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
論理の発達をより大きな成人発達という観点と関連させ、かつデータとも関連させて その姿を考える。2019年度は、下記のような中二階の理論を作る。 ○教師などがなにを「発達した論理のすがた」と考えるか ○成人発達からみて、「発達した論理のすがた」とはどのようなものといえるか ○学年ごとの回答を見て、「論理のすがた」はどのような変化があるか
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Causes of Carryover |
今年度は、論理の発達に関わる実態(実態)と基盤理論とをつなぐ中二階の理論(各学年段階に合わせた理論)が構築できなかったため、データ分析を行うことができなかった。次年度は遅れている中二階理論と構築を行い、その理論に従ってデータを分析し、その後第二回のデータを収集して分析考察するための費用として使う予定である。
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Research Products
(6 results)