2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K02636
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Research Institution | Onomichi City University |
Principal Investigator |
信木 伸一 尾道市立大学, 芸術文化学部, 教授 (40549870)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 普通文 / 教科書 |
Outline of Annual Research Achievements |
明治期中等教育国語教科書において様々に試みられた「普通文」創出の営為について、文体的な実践を分析するための観点を抽出した。今文(明治に書かれた文章)が中学校教科書に掲載され始めた時期の教科書より、新保磐次『中學國文讀本』を取り上げ、編者自作の近世の典拠を明確に特定できる教材文について、近代日本で通用する「普通文」としていかなる文体的改変を実践したのかを抽出した。また、同編者著の『日本普通文如何』という「普通文」論と実際の教科書における文体実践との関連性についても分析考察を行った。この作業で得られた成果は、全国大学国語教育学会第135回東京ウォーターフロント大会にて「新保磐次『中學國文讀本』(明二八)における「普通文」」(全国大学国語教育学会『国語科教育研究 第135回東京ウォーターフロント大会研究発表要旨集』 2018.10、単著) として発表、また研究論文として「新保磐次『中學國文讀本』」における「普通文」―教材「藤樹先生」の典拠からの文体的変容―」(『国語教育研究 第六〇号』広島大学国語教育会 2019.3、単著)を発表した。 続いて、同教科書の編者作成教材における文体的試みを抽出し、他の教科書へに継承と変容を明らかにし、その成果を「新保磐次『中學國文讀本』における「普通文」その2 ―編者作成教材における文体的試みと三土忠造『中學國語讀本』への改変 ―」(『国語教育研究 第六一号』広島大学国語教育会 2020.3、単著)で発表した。 また、中学校国語教科書における「普通文」文体の変遷を確認するための基礎作業で、くずし字版本で作られた最初期の中学校国語教科書『本朝文範』の翻刻作業を行った。これは、今後の教科書研究に資するため、翻刻「稲垣千穎『本朝文範』」(はと印刷 2019.5発行 単著)を発行し、同時に広島県大学共同リポジトリにインターネット公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
勤務校において、新型コロナウィルス感染拡大防止に対応するタスクフォース「危機管理対策会議」のメンバーとして、2019年1月より、連日のタスク対応にあたっており、研究作業の時間が十分にとれなくなっている。例年であれば、調査活動を進展させることのできる時期であるが、県外への移動が制限される中、出張ができない状況が続いている。また、大学の入構禁止が続いておりデータ入力の学生アルバイトの運用が全くできないで状況が続いている。以上の理由により、研究の進捗に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
調査は、新型コロナウィルスの社会的影響が緩和し、出張が可能となりしだい再開する。 当面は、収集済み資料のデータ化及びその分析・考察を引き続き進めることとする。 研究作業で得られた成果について、順次内容のまとまり毎に、学会発表や論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの社会的影響により、調査のための出張及び学生アルバイトによるデータ入力作業が中断しているため。
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Research Products
(3 results)